

SNS上での発信から、消費を促し流行を生み出すインフルエンサー。人々を惹きつけるカギは「好き」を追求する姿と「人柄」だ。AERA 2021年5月3日-5月10日合併号は、フードエッセイストの平野紗季子さん、MC TAKAさんを紹介する。
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フードエッセイストの平野紗季子さん(30)も、「好き」を追求して共感を集めるインフルエンサーのひとりだ。食のうんちくを語るのではなく、その食べものに出合ってどう感じたのか、独特の感性から繰り出される言葉に魅了される人は多い。
■発売1分で売り切れ
インスタでは料理やお菓子、料理教室などの情報を発信。「同じ生地なのにドーナツの穴側になってしまったら堂々と売ってもらえないのがかわいそうだと思ってたから……」のような、独自の視点と少し引いて撮った写真が好評で、10万以上のフォロワーがいる。食について語るポッドキャストも人気だ。
「シンプルに食が好きで、食を伝えたい、食体験を人と共有したいと思っています。好きなものに共感してくれる人がいるのはうれしいですね」(平野さん)
発売1分で売り切れる「(NO)RAISIN SANDWICH」など菓子のプロデュース、最近はシェフを招いての料理教室も始めた。
「文筆業だけでなく、食についての企画、発信など、さまざまなことをしていきたいと思っています」(同)
「好き」を追求し、ファンが付いてくる。SNSマーケティング事業を展開するサイバー・バズの海野(うんの)萌さんは、この図式を「人柄重視型」インフルエンサーと定義する。この「人柄」もZ世代の心をつかむ重要なキーワードだという。
数年前、インフルエンサーの人気を決定づける鍵は「映え」だった。いかにおしゃれな写真を投稿するかが競われ、「インスタ映え」が2017年の新語・流行語大賞に選ばれた。19年ごろからは写真に文字を入れて雑誌のようなデザインに加工したり、投稿文章をぎっしりと書きこんで情報量を増やす「文字入れ情報型」が重視されるようになった。「人柄」は、そのあとに続く最新のトレンドだ。
「声や動画の発信が当たり前になり、消費者が受け取る情報が格段に増えた。発信者がどんな人か深くイメージできるため、パーソナリティーに注目が集まるようになりました」(海野さん)