林:松本さんは30代でブレークしたから、それってすごいことですよね。
松本:だから、私はこの運とタイミングを絶対逃しちゃいけないと思いました。それは自分の人生だけじゃなくて、今まで私を支えてくれた人たち、仕事をくださった人たち、信じてくれている人たちのためでもあると思ったんです。
林:下積みを長年経験してきたのに、そういう“臭み”がぜんぜんないからいいですよね。ある日突然、風に乗ってフワッとあらわれたという感じがあって。
松本:ああ、すごい素敵な表現。そんなふうに言ってくださるのがうれしいです。
林:そのふんわりした雰囲気って、声のせいかもしれない。
松本:若いときは、この声がイヤでしたね。こういう声とか、ふんわりした人ってナメられるんです。「ブリっ子」とも言われたし。だから私は女優として認識されるのは難しいだろうなと思ってたんです。「ホリデイラブ」に出演したことで、私はこのキャラクターで開き直ることができたからラッキーでした。
林:酎ハイのCM(鏡月焼酎ハイCM)、私はカワイイと思って見てたけど、「あざとすぎる」とか何とか言われたんですって?
松本:ネット記事なのでわかんないですけど、なんか物議をかもしたらしいです。私はすごくいいCMをつくっていただいたなと思いますけど、でも、興味を持たれないよりはましかなと思って。
林:そうそう。スターになったら「言われてなんぼ」って思わなきゃね。CMって、何の印象もなくスッと流れていったら意味がなくて、ちょっと引っかかりがないといけないし。そこに刺さったわけだから、何か言われることもいいことですよ。
松本:私は興味を持たれない時期が長かったので、逆に興味を持たれなくなることのほうが恐ろしいと思います。
林:そこまで思えるようになったらもう大丈夫ですよ。また新しいドラマが始まるんですって?
松本:「ミッドナイトスワン」(草なぎ剛主演の2021年日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞の映画)の内田英治監督の作品で、5月14日からスタートするWOWOWの「向こうの果て」という連続ドラマに出ます。「中島ハルコ」の「いづみ」とは真逆の殺人犯の役で。