国会で答弁する武田総務相(C)朝日新聞社
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武田総務相が全国の知事と首長に宛てたメール全文
武田総務相が全国の知事と首長に宛てたメール全文

 ワクチン接種が進まない中、武田良太総務相が全国の知事や市町村の首長に送信したメールが波紋を呼んでいる。

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 問題のメールは4月23日付で発信された。武田総務相は菅義偉総理の指示を受けてワクチン接種を各自治体に急ぐようこうハッパをかけている。

<ゴールデンウイーク明けには約700万回分、それ以降は毎週約1000万回分のワクチンを全国の自治体に配布し、希望する高齢者には7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるようにお願いしたい>

 このメールは同日に菅総理が「6月末までには合計1億回分を配布できるようにいたします。その上で、希望する高齢者に7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて取り組んでまいります」と発表したことを受けて出されたもの。

 武田総務相は<7月末を念頭に、高齢者への速やかなワクチン接種に向けて、皆様方、お一人お一人の一層のご尽力、ご協力をお願い申し上げます>と訴えている。しかし、メールにはワクチンがいつ、どれぐらいの数量が届くなど具体的な記述はない。

 それなのに7月末までに高齢者へのワクチン接種を完了させろというのは無茶ぶりだと、四国地方の首長は怒る。

「今はどの自治体も少量のワクチンをどう接種するかで悩んでいる。接種するには、ワクチンが届かないとどうにもならない。にもかかわらず、7月末には終わらせろ、という上から目線のメールは、自治体に強要しているように感じられます。国はワクチン供給という責任を果たしていないのにも関わらずです」

 メールを読んだ兵庫県明石市の泉市長もこう指摘する。

「高齢者に7月末までに接種しろというが、ワクチンが届かないのに、どうすれば、いいのか。おまけに菅総理は7月末までにワクチン接種が終わらせると記者会見で言いながら、地方自治体にはきちんとした、ワクチン供給のスケジュールを示していない。うちは当初、国の発表に従って『3月中に高齢者へのワクチン接種がはじまる』と広報誌に書いたが、4月まで始まらなかった。国の言う通りに市民に伝えたら明石市がウソつきになった。他の自治体の首長さんとも『国はちゃんとスケジュールや数量など根拠のある情報を出してほしい』、『結局、混乱するのは現場』と話しています。武田総務相はこんなメールを出す前にすべきことが、たくさんあるはずです」

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日本のワクチン接種率は先進国で最下位医