■宮市亮(ザンクト・パウリ)

 昨シーズンはブンデスリーガ2部の舞台で第28節まですべての試合に出場。本職のウイングからサイドバック、ウイングバックとプレーの幅を広げ、かつて名将アーセン・ヴェンゲルが見込んだ才能がついに開花。キャリアを通じて苦しめられてきたケガに打ち勝ち、「やっと一人前の選手になれた気分です。毎日トレーニングに行けるのが幸せなんです」と感慨深く語っていた……。

 だが、ケガとの戦いはまだ終わりではなかった。昨季終盤に負った膝と内転筋のケガは、過去の両膝十字じん帯断裂との関連が確認され、離脱期間は長引いた。結局今季は1試合も出場しないまま、残り3試合となった。4月半ばの会見でティモ・シュルツ監督がようやく出場できるコンディションになったことを明かしたが、不運にも再び1シーズンを棒に振ることになってしまった。

 そんな宮市のザンクト・パウリとの現行契約は今シーズン限り。幸いにもシュルツ監督は「私はリョウの大ファン」と公言しており、契約延長には前向きであるとの見方が強い。来季以降もドイツの地で自身を試す機会は与えられそうだ。日本屈指のスピードスターは、もう28歳となった。負傷の連鎖を断ち切り、来季こそ笑顔でピッチを駆け抜ける姿を見られるだろうか。

■中島翔哉(アル・アイン)

 ポルティモネンセで目覚ましい活躍を見せ、一度カタールをはさんでからポルトガルの強豪ポルトに加入した中島。しかし献身性の欠如からセルジオ・コンセイソン監督の怒りを買うと、新型コロナウイルスのパンデミックによる不安から3カ月以上チームへの合流を拒否した。これで指揮官の信頼は完全に潰えてしまう(この問題に関してどちらが「悪者」ということはない)。指揮官は日本人MFの退団後、「決して面倒な選手ではない。少し複雑だったというべきか。ここに馴染めなかった。とても基本的な面でそうだった」と振り返っている。

 ポルトで居場所のなくなった中島は、1月の移籍市場でUAEのアル・アインへとレンタル移籍を決断。デビュー戦でアシストをマークし、翌週の試合では先発の座も勝ち取った。2度目の中東挑戦は順調なスタートを切っていたが、その直後の練習で脛骨骨折と靭帯損傷の重傷を負い、シーズン中の復帰は絶望とされている。

 中島の現在の契約は今季終了までの期限付きであり、夏には一度ポルトへ復帰することになる。しかし、コンセイソン監督はチャンピオンズリーグでもベスト8に進出するほどのチームを作り上げており、現チームには居場所はないだろう。ポルトガル『A Bola』の報道では、ポルト側は形式にこだわらず放出を希望。アル・アイン側も「引き留めるに値する外国人選手」と評価していることから、来季もUAEでプレーする可能性は高い。自身が最も大切にする「プレーを楽しむこと」を再び見つけ、ポルティモネンセ時代のような輝きを取り戻したい。

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東京五輪世代の選手の“あの選手”も