タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
* * *
最近、食べ方がおかしいと感じていませんか。身の回りに、食べ方が変化した人はいませんか。それはもしかしたら、病気かもしれません。私は10代後半から30歳まで、食べ吐き行為に依存していました。過食嘔吐という摂食障害です。食べ物を大量に買い込んでは苦しくなるまで食べ続け、全て吐くことを繰り返す。食べている間だけは頭が空っぽになって、大嫌いな惨めな自分を忘れることができました。胃袋が裏返るような苦しい嘔吐で、食べ物と一緒に心の中のいろいろも吐き出せるような気がしました。お金がなくなっても、やめられませんでした。死にたいと泣きながら食べては吐いて、なんとか生きようとしていたのです。レジ袋四つ分の食べ物と大量のジュースを詰め込んで吐き出せなくなり、救急車を呼んだこともありました。サイレンが聞こえてきた時にようやく吐くことができて、取り消しの電話をかけました。あの時もし吐けずに倒れていたらと思うと怖くなります。