何かに依存してしまうことは、誰にでも起こりうる。異変に気づいたら専門家に相談して(写真:gettyimages)
何かに依存してしまうことは、誰にでも起こりうる。異変に気づいたら専門家に相談して(写真:gettyimages)

 当時は、それが病気だとは知りませんでした。恥ずかしい悪い癖だと思っていたのです。知識があれば治療を受けることもできたのにと悔やまれます。毎日食べ吐きをしながら、よく進学や就職や仕事ができたものだと思います。交際相手など、周囲には何かおかしいと気づいていた人もいたはずです。でも誰もそのことには触れず、「医師に相談してみたら」とも言いませんでした。もちろん私も、こんなことをしているのは自分だけだと思い込んでいたのです。死を願いながら食べては吐く行為は、生の意思表示でもありました。一種の自傷行為です。こうではなく生きたいのにそれが叶わないというやり場のない思いから、人は何かに依存してしまうことがあります。誰にでも起き得ることです。異変を感じたら当人を責めずに、早めに専門家に相談してほしいです。

◎小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。寄付サイト「ひとりじゃないよPJ」呼びかけ人。

AERA 2023年2月6日号

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