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総務省と厚生労働省は5月12日、全国の自治体を対象に実施した65歳以上の高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種の実態調査の結果を公表した。
【独自】AERAdot.が入手した厚生省が地方自治体に出した指示書はこちら
菅義偉首相が目標に掲げた7月末までに高齢者接種が完了する予定と回答したのは全国1741市区町村のうち1490自治体(85.6%)。都道府県別では、兵庫や京都など17府県が、全市町村で7月中に接種を終える見通しと回答した。「8月中」と答えたのは東京、大阪、愛知などの185自治体(10.6%)、「9月以降」としたのは北海道、福岡、沖縄などの66自治体(3.8%)だ。
しかし、ワクチンが足りず、接種券を配布された高齢者が自治体の窓口に殺到したり、電話回線がパンクしたりとの騒ぎが連日、全国各地で起こっている。
「実はファイザーの都合で、今週中に高齢者用ワクチンが届かない市町村が相当数、発生します。しかし、ワクチン接種が順調にスタートした感を演出するため、『医療従事者用のワクチンを高齢者に当てるように』と総務省、厚労省が都道府県に内々に指示しています。85%の自治体が7月末までに高齢者への接種完了と答え、菅首相はご満悦ですが、実際は総務省が各県副知事への電話し、『7月末までに接種完了は難しい』と答えた市町村に対し、『公表するぞ』と脅した成果なのです」(政府関係者)
AERAdot.編集部が入手した厚労省健康局健康課予防接種室が6日に各都道府県の衛生主管部に宛てたペーパーにはこう記されていた。
<市町村によっては5月10日の週にワクチンが納入されないことがあります>
その対応策として<医療従事者向けに配送されたワクチンの一次的な融通等の検討と調整いただくなど、ワクチン接種が円滑かつ効率的に実施されるよう…>と指南してあった。
高齢者向けのワクチン接種で各地で混乱が起きていることについて、河野太郎行政改革相は12日夜、TBSの報道番組で、「効率性よりは平等性の方を重んじる自治体が多かった。これは完全に僕の失敗です」と陳謝した。だが、自治体に責任転嫁するような発言に対し、怒る首長たちは多い。