ミッツ・マングローブ
ミッツ・マングローブ
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※写真はイメージです (GettyImages)
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 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、芸能人の敬称について。

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 先日、松本人志さんが番組の中で「自分は師匠と呼ばれない」と話していました。確かに芸能界では大御所の芸人さんを「師匠(鶴瓶さんや志村さんなど)」と呼んだり、大御所歌手や作曲家さんたちを「先生(北島先生・淡谷先生・筒美先生など)」と呼ぶ慣習があります。一方で、ビートたけしさんや明石家さんまさんのように、弟子や後輩たちから「師匠呼び」されることを嫌い、「殿」「若」といった呼ばれ方をしているケースも。

 オカマの世界でも、先輩を「ネエさん」「お母さん」と呼んだりします。ただし私たちの場合は、そこに敬意と同量の悪意(ババア扱い)も含まれているのが特徴です。私もよく、道の反対側から大声で「お母さーん!」とあてつけのように呼ばれるという精神的嫌がらせを受けます。

 というわけで、今週は芸能人の呼び方について考えてみることにしましょう。「師匠」や「先生」以外にも、日本語には様々な敬称(様・氏・嬢など)が存在します。中でも最もポピュラーなのが「君」「ちゃん」「さん」の三つです。芸能界でもこれらの敬称とともに世間から親しまれている人がたくさんいます。

 まずは「君」ですが、真っ先に思い浮かぶのは「中居くん」。男性アイドルに「君付け」をする傾向は80年代辺りからで、シブがき隊(ヤックン・フックン・モックン)や光GENJI(かーくん・あっくん)や沖田浩之(ヒロくん)など、70年代の「ヒデキ」「ジュリー」なんかとは明らかに変化したように思います。さらに90年代には、「森くん(SMAP)」「長瀬くん(TOKIO)」「坂本くん(V6)」「光一くん(KinKi Kids)」といったように、多くのジャニーズアイドルが「君」で呼ばれるようになりました。そんな「君界隈」で最も成功を収め、何歳になっても「君呼び」され続ける魅力を持つ「中居くん」。今後もずっと君臨して頂きたいものです。もちろん「さかなクン」も。

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