沢田研二=2012年1月、東京都千代田区の日本武道館 (C)朝日新聞社
沢田研二=2012年1月、東京都千代田区の日本武道館 (C)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る
開演前は長蛇の列=東京都千代田区の東京国際フォーラム
開演前は長蛇の列=東京都千代田区の東京国際フォーラム

「こんな大変な時にこうして駆け付けてくださって本当にうれしいです……(中略)無事にこうして今日を迎えられたのは幸運に幸運が重なりまくったということです」

【写真】元日にジュリーが発表していたメッセージはこちら

 ジュリーこと沢田研二が、公の場に現れたのは実に1年4カ月ぶり。5月28日、ソロデビュー50周年記念ライブツアー『BALLADE』の幕開けとなる東京公演が東京国際フォーラムで開催。コロナ禍で長らく“禁断症状”に陥っていたファンを感涙させた。

「果たしてみなさんが、こんなさなかに来ていただけるもんだろうかと心配していました。と言うのは、緊急事態宣言が出ていない時に(チケットを)売り出したんですよ。そしたらあっという間に売り切れた。週刊誌でよく言われてる“根強い人気の沢田研二”(笑)」

 相変わらずのジュリー節も健在。この間の“空白”を感じさせない姿に会場は熱気に包まれた。

 ライブでは今夏、志村けんさんに代わって主役を務めた映画『キネマの神様』の話にも及んだ。そして熱唱したのは、『ヤマトより愛をこめて』だった。

「今はさらばと言わせないでくれ」

 コロナ禍で亡くなった友、志村さんへの思いが込められていたのだろうか、いつもよりなお、胸に迫るものがあった。

 この日、厳しい入場規制の影響で予定より25分遅れで始まったライブ。曲目はツアータイトル通り、バラードを中心とした構成だ。コロナ禍に配慮し、ファンがヒートアップしてしまうような楽曲はなるべく避けたかったのだと思われるが、それでも『君をのせて』『追憶』『時のすぎゆくままに』など日本の音楽史をいろどった名曲の数々と、沢田の熟成された歌声は聴くものの心を静かに熱くさせた。

「ナマは違うでしょ?」とアンコール前のMCで50年以上の年月をライブミュージシャンとして生きてきた自負を漏らした沢田。前妻の伊藤エミさん、加瀬邦彦さん、井上堯之さん、内田裕也さん、萩原健一さん、そして志村さん……。

 近年、何人もの恩人、友人に先立たれている沢田にとって、歌い続けることは何よりの心の支えなのだろう。

 沢田は今後、6月1日に名古屋、6月3日に大阪でライブを開催。そして8月、『キネマの神様』が封切りされた後は、西日本でのライブ開催も検討しているようだ。燃えるようなジュリー節でこれまで待ちに待ったファンたちの心を満たしてくれることを期待したい。

(中将タカノリ)

※週刊朝日オンライン限定記事

暮らしとモノ班 for promotion
香りとおしゃれ感を部屋にもたらす!Amazonでみんなが「欲しいアロマディフューザー」ランキング