圧倒的な年齢差があるにもかかわらず、または年齢差があるからなのか、楽しげな雰囲気をまとった傍若無人さで一方的に性を押しつけてくる成人男性は、決して珍しい存在ではなかった。それは昔も今も変わらない、女の子にとっての現実ではないか。

 1年にわたる性犯罪刑法改正の検討会が終わり、今後は法制審議会を経て国会で審議されることになる。検討会では、被害の実態に即した刑法改正を求めて、被害当事者団体の代表理事の山本潤さん等が積極的に発言した。今回の刑法改正の鍵となるのは、「不同意性交等罪」を盛り込めるかどうか、低すぎる性交同意年齢(13歳)を引き上げられるかどうか、短い公訴時効を変えられるかどうか、地位・関係性を利用した性犯罪に罰則規定が設けられるかどうか。全てが性被害者にとっては切実な課題だ。

 ところが、5月10日に立憲民主党内で行われた「性犯罪刑法改正に関するワーキングチーム」で、13歳の性交同意年齢を引き上げることについて、立憲の本多平直衆議院議員が「例えば50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」と発言したことが報道された。本多議員はその後、謝罪して発言を撤回したが、ワーキングチームでは性交同意年齢の引き上げについての報告書の取りまとめを見送った。あまりに残念なことだ。

 本多議員は医大差別入試問題について国会で質問をするなど、理不尽な差別に対し怒りをもって闘う議員でもある。それでもやっぱりココがリベラル男性議員の限界なのだろうか。本多議員に限らず、同意年齢を引き上げることにリベラルな議員の中に根強い反対があるのは事実だ。私は2年前に立憲民主党内での勉強会に参加したことがあったが、その際も刑法“厳罰化”に違和感を示し、同意年齢13歳は妥当だという考えが立憲民主党の議員から出されたことを覚えている。子どもの性的自由意思を誤った方向で過信し、性暴力被害者の声を聞こうともしない姿勢に衝撃を受けたものだ。

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16年に日弁連だ出した意見書も残念な内容