OPPOはAndroidをカスタマイズした独自OSを開発している。この機能により、仕事用のファイルに私用のアプリがアクセスすることを制限できるため、個人情報流出を防ぐことができるという。
同様の機能は、中国スマホ大手の「Xiaomi(シャオミ)」がすでに導入している。AndroidのカスタマイズOS「MIUI」に搭載したもので、各アプリが位置情報や連絡帳に何回アクセスしたのか棒グラフで表示する機能が、アップルに先行して入っている。また、スマホで撮影した写真をメッセージアプリなどで外部に送信する際、写真に埋め込まれた位置情報を削除する機能もある。個人情報の活用の可否を利用者が非常に事細かく決めることができる。
OPPOの周氏は個人情報保護の取り組みについて、「全世界で個人情報保護意識が成長したため」と述べ、中国固有の理由については言及を避けた。
■高齢者には混乱を招く
しかし、中国出身で現在は日本のIT企業に勤める男性は、現地の事情をこう推測する。
「中国のIT産業は法律が追いつかない速度で発展してきました。それが成熟してきて、個人情報保護などの法規制が追いつこうとしています。国から指摘される前に、スマホメーカー側が先手を打って規制強化に乗り出したのではないでしょうか」
また、中国のスマホ利用者の間でも、個人情報を勝手に利用されて広告が増えるといったデメリットに気付く人が増えているという。
業界に詳しいこの男性は「それも、スマホメーカーが対応を強化する理由ではないでしょうか」とも語った。
自分の情報が、いつどのように利用されているか。それを把握することの重要性は今後も増すのは間違いない。一つ懸念されるのは、スマホに慣れていない高齢者らの混乱を招きかねないということだ。
「このアプリを使っていると、何度も何度も位置情報などいろんな情報の利用許可を求められた。OKしていいのか」
おそらく、そんな困惑の声が上がる可能性が高い。総務省は携帯ショップをデジタル相談所として活用する方針を示しているが、うまく機能するかはわからない。
アップルやグーグルには、個人情報保護と利用の快適さの両立という非常に困難な課題を解決することも求められている。(ライター・平土令)
※AERA 2021年6月28日号