子どもたちのおもちゃの定位置を決めると、遊び終わってから下の息子もきちんと片づけてくれるようになりました。家族みんなでモノの住所がわかっているので、今までのように「あれ取って」「○○はどこ?」とは誰も言いません。片づけを促すときも、「片づけなさい」と怒鳴るように言っていたのが、「戻してね」と声をかけるだけできれいになります。
「このまま片づけられる子になってくれるといいんですけど……」と彼女は言いますが、もう基礎はでき始めているでしょう。このまま継続すれば、きっと片づけられる大人に成長してくれます。
夫ともテレビやソファの配置などで話し合いを重ねました。彼女は彼女で、夫は夫で「こうしたい」という思いがあり、試行錯誤をくり返して家族にとってのベストの配置が見つけられました。
「『もっと広い家に住んでいたらきれいにできて、いつでも人を呼べるのに』って思ったことがありました。でも、違いましたね。自分で考えて、自分で決めて、自分できれいにしたこの家が、すごくお気に入りになりました!人が来るときも、『いつでもどうぞ』って言えます」
プロジェクト終了後は、職場の片づけにも着手。ストックの多い備品を整理して働きやすい環境を整え、同僚からも感謝されました。
「仕事に対してのモヤモヤもクリアになりました。私は今まで『先輩がこうしていたから自分もやってみよう』という感じで、他人の基準に合わせてきたんです。でも、これからは自分の基準を大切にしようと思います!」
そう力強く話してくれる彼女は、もうすぐ開業する予定とのこと。「大好きな仕事を続けながら、子どもとの時間をもっと増やしたい」という、今まで理想でしかなかった生活が実現される日も近いですね。
●西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。