「命運をかけた会見があるというのに、なんてことだ」
こうぼやくのは自民党の宏池会所属の国会議員だ。
7月15日に宏池会座長で、農水相、文科相などを歴任した林芳正参院議員が、今秋に行われる衆院選挙に出馬する記者会見が予定されている。参院山口選挙区から衆院山口3区へ転出する不退転の決意を述べる場になるはずだったが、それに水を差すような「事件」で混乱しているという。
宏池会所属の国会議員事務所で新型コロナの感染者が続出しているというのだ。衆議院によると、13日に小林史明事務所、14日に岸田文雄事務所、深澤陽一事務所からそれぞれ秘書1名が感染したと届け出があった。また、参議院によると、13日に馬場成志事務所から秘書1名が感染したと届け出があったという。
何が起こったのか?
先の国会議員によれば、この感染のきっかけは、8日に東京プリンスホテルで開催された宏池会の政治資金パーティー「宏池会と語る会」だったという。もともとこのパーティーは5月19日に予定されていたが、コロナ禍で緊急事態宣言発令となり、延期となった経緯があった。6月21日に宣言は解除されたが、感染拡大の懸念は依然として強かった。
「開催日の8日は運悪く、都内で感染者が拡大し、まん延防止等重点措置から再び、緊急事態宣言を12日に再発出すると政府が決めた日でした。慎重な意見もある中で、岸田会長の決断でやることとなった」(前出・宏池会所属の国会議員)
当日、会場につめていた議員秘書のひとりはこう話す。
「岸田会長の秘書以外の3人は、会場担当として対応にあたっていました。9日に岸田会長の秘書が体調不良で感染したと知りました。その日から岸田会長の秘書全員が自宅待機となったと聞いています」
この時期にパーティーを開き、感染したとなるとあまりにもお粗末だが、感染症対策のほうはどうだったのか。パーティーの案内状を見ると、
<例年開催いたしておりました「宏池会と語る会」でございますが、コロナ禍に鑑みまして、本年もまた昨年に引き続きパーティー形式ではなく、講演会形式として開催させていただきたいと存じます>