AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:方角占いを信じている友人がいて、旅行も引っ越しも方角にこだわって大変そうです。私はうさんくさいと思い、友人に何か言いたい衝動にかられるのですが、否定するのも悪い気がして興味津々のふりをしてます。今さら興味ないとは言えないので、占い話を楽しく聞けるようになりたいです。占い否定派の人たちにはどのように接していますか?(男性/フリー/51歳/おとめ座)
A:これは気持ちわかります。シンプルに結論から言うと、「僕はその話題苦手なんだよね」ってちゃんと言ったほうがいい気がする。
言いすぎかもしれませんが、苦手な話の強要というのは、少しハラスメント要素があると僕は思ってしまいます。下ネタの強要なども似ていますよね。
「興味がない」と言ってしまうと、完全なシャットアウトになってしまって角が立つかもしれないから、「苦手」という言葉を使うのがいいのではないかなと思います。
「そうなんだ、あなたはそういうことを大事にしてるんだね」と一度受け止めて、「でもごめん、ちょっと私は苦手なんだよね、そういう話」というふうに伝えてみてはどうでしょうか。
僕も経験があって、例えば行きすぎたオカルト系の話をされることもあります。別に相手に悪気があるわけじゃないし、その世界に引き込もうとしているわけでもない。楽しくてついしゃべっちゃう、というだけなんですよね。
だからこそ「ちょっと苦手なんだよね」と伝えるのは礼儀として大切なことのように思います。きっと気づいてくれると思うから。
興味津々のふりで話を聞くとか、相手に失礼のないように話を聞いてしまう人は意外と多いです。おとめ座は好奇心も強いから「この人がそこまで楽しいと思うなら、話のネタにその理屈を知ってみたい」という気持ちもあるのかもしれません。それは消耗が激しいから、自分の体力と相談しながらにしてください。
おとめ座は、どこかヒーラー的な気質がある人たちのように感じます。目の前の人が楽しそうに話をしていると、なんていうか、専門的なケアをしているみたいな気持ちになってしまうかもしれません。友人の失恋話や愚痴に、夜中の2時まで付き合ってしまう人たちが結構多いです。
自分がその話を受け止めてあげることで、相手が回復していく感じ。でもそれって相手にとっても依存性がある、あまり良くない回復法です。相手のためにも自分のためにも「ここまでは聞けるけど、ここから先の話は苦手」とちゃんと線引きしましょう。
同じような相談で「苦手な人たちと付き合うテクニックを教えてほしい」というのもよく聞かれるんですが、そんなテクニックを身につけるのはやめておいたほうがいいです。だって苦手なんだから。
苦手な人たちの苦手な話題に付き合うエネルギーは、もっと自分にも生きる形の時間に使っていいと思います。
◎しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気
※AERA 2022年12月5日号