──14年の役者人生で、120を超える舞台に立たれてきたんですね。

 求められなくなったら終わりと思って、走り続けてきました。

 2.5次元のファンって、お芝居を見に行ったりイベントに通ったり、何かとお金がかかるんですよ。その対価に見合うものを提供し続けなきゃという責任感は常にあります。

 あとは、人間力を大切に役者をやってきたつもりです。「植田君がいるなら良い作品になる」って思ってもらえるよう、役者仲間や演出家など制作に携わるすべての皆さんとコミュニケーションをとって信頼関係を築くようにしてきました。

 石原さとみさんのお芝居や人柄がすごく好きなんですけど、石原さんも何かのインタビューで「30歳を超えたら、役者は人間力が大事」っておっしゃっていて。自分の感覚は間違ってなかったのかなって勇気づけられました。

 セルフケアも大事ですね。しんどくなった時は、マネジャーに「この一日だけは放っておいてほしい」と伝えます。休みの日はとにかく何もしない。仕事のことを一切考えない。スマホをいじらない。自分を保つためには、そういう日が必要です。

──見た目からは想像できませんが、現在31歳。今後のビジョンについてお聞かせください。

 自分の役のことだけ考えればいい年齢ではないし、作品全体を見て様々な視点で熟考しなきゃいけない立場になったと自覚しています。

 ファンの方からはいまだに「かわいい」って言われることが多いですね。年はとるのでいつまでもそうはいられないとは思いますけど……。

 役者としての自分にかわいさを求めてくださる人がいるなら、その期待に応えたい。一方で、かっこいい役を演じる自分が好きな人もいるし、素はサバサバしてかわいいとはかけ離れている僕が好きと言ってくれる人もいます。

 どんな植田圭輔を必要としてくださるのかは受け取り手に任せて、結局はありのままの自分でいるしかないんだろうなと思ってます。

(構成/本誌・大谷百合絵)

週刊朝日  2021年7月30日号

著者プロフィールを見る
大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

大谷百合絵の記事一覧はこちら