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菅義偉首相は東京オリンピックの開会式(7月23日)にあわせて来日した10を超える国や機関、企業のトップらと会談し、3日間のマラソン外交を終えた。
中でも東京・元赤坂の迎賓館に招くという国賓級のおもてなしで迎えたのは、新型コロナウイルスワクチンを世界に供給する米製薬大手ファイザーのブーラCEOだ。
ブーラ氏はIOC(国際オリンピック委員会)にワクチンを無償提供したことなどから、開会式に出席。菅首相は23日午前、河野太郎ワクチン担当相も同席した上で、10月以降に予定している供給分の前倒しを要請したとされる。その会談はどのようなものだったのか。政府関係者がこう明かす。
「官邸ではなく迎賓館で食事を取りながらのおもてなし会談で、国賓級の扱いでした。官邸が会談前から盛んにメディアに会談について吹聴していたので『ワクチン前倒し供給を要請』のニュースが一斉に報じられましたが、実質は『選手団に対する4万人分のワクチン無償支援』に対する首相からの御礼と例の不毛な『安全安心な大会への決意』を述べたことが、メインでした。日本のコロナ感染状況などのレクもブーラ氏にしていました」
では、肝心の「ワクチン供給前倒し」の結果はどうなったのか?
「菅首相から言及はしたものの、『引き続き実務担当者同士で』と軽くあしらわれたと聞いています。菅首相、河野大臣の2人がかりでブーラ氏と交渉し、何をやっているのか、と失望の声が官邸から出ています。ファイザーに足元をみられているということでしょう」(同前)
新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、ワクチン供給も一部の自治体で滞る中、政府や自民党内では「そもそも野党のせいだ」という声が相次いでいる。
こうした声に反応した立憲民主党は、公式Twitterで「ワクチン遅れたのは野党のせい?」としてQA式のツイートを7月16日に連投し、「違います。政府の責任です」などと持論を展開した。