「CEATEC2022」会場で展示された凸版印刷のメタクローンアバター体験。カメラの前に立ち、30秒で本人そっくりのアバターが画面に登場する(撮影/写真映像部・加藤夏子)
「CEATEC2022」会場で展示された凸版印刷のメタクローンアバター体験。カメラの前に立ち、30秒で本人そっくりのアバターが画面に登場する(撮影/写真映像部・加藤夏子)

 会議メンバーからは「(本人との)ギャップが大きすぎる」という引き気味の反応が目立ったが、「親しみやすい」との声もあった。何より筆者自身、気分が高揚し、明らかに普段よりも発言が増えたと思う。これに対し、茂出木さんからこんなアドバイスを受けた。

「ナナちゃんで周りが引いたのは、キャラがかわいすぎたためと思いますが、なぜかおじさんほど美少女を選んでしまいがちのようです。なので、ぜひほかのアバターなどでも試してみていただけたらうれしいです」

■本人そっくりアバター

 茂出木さんは「アバターで世の中は変わる」と唱える。

「活発なイメージのアバターを使っているとコミュニケーション能力が上がったり、タフなイメージのアバターを使うと自信を持ったしゃべり方ができたりする、といった大学の研究論文が発表されています。好ましいアバターだと話し相手の発言も増すという研究結果もあります」

 ウェブ会議で顔出ししたくないときもあれば、顔出ししないメンバーが多いと話しづらいと感じた経験のある人もいるだろう。茂出木さんは言う。

「カメラオフだと、シャットアウトされている感じもします。かといって、素顔をさらすリスクがあったり、気が引けたりする局面もあるはずです。そんなときも、アバターの活用は有効です。コミュニケーションを円滑にする上で、アバターは、かなり理にかなうツールなんです」

 とはいえ、アバターが本人と特定できないとビジネスシーンでは使いにくい。一目で本人と識別できるアバターを簡単につくれるのが、凸版印刷の3Dアバター自動生成サービス「メタクローンアバター」だ。

 10月に千葉市の幕張メッセで開かれた「CEATEC2022」。メタバースの最新技術が展示されたコーナーで、順番待ちの列ができていたのがこの体験コーナーだった。カメラの前に立ち、待つこと30秒。本人そっくりのアバターが画面に登場した。正面の顔写真1枚で、顔の側面や背面もAIが予測推定してアバターを自動生成する。スマートフォンに読み込んだアバター動画を同僚に見せると、口々に「そっくり」と精度の高さに驚く反応が相次いだ。

■ビジネスシーンでも

 情報コミュニケーション事業本部マーケティング事業部の村田高章部長は言う。

「自分のデジタル分身がメタバースの空間に入り、製品を囲んで会議やプロモーションすることも可能です」

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