凸版印刷のメタバースモール「メタパ」。物理的距離感を体感しながら会話でき、社内コミュニケーションツールにも応用できる(撮影/写真映像部・加藤夏子)
凸版印刷のメタバースモール「メタパ」。物理的距離感を体感しながら会話でき、社内コミュニケーションツールにも応用できる(撮影/写真映像部・加藤夏子)
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 新型コロナウイルスが流行し、まもなく丸3年。ウェブ会議もマンネリ化してきた。かといって、今さらすべてリアルに戻すのは無理。というわけで、いま話題のメタバースを社内会議に導入できないか探ってみた。AERA 2022年12月5日号の記事を紹介する。

【写真】「CEATEC2022」会場で展示された凸版印刷のメタクローンアバター体験

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「大事なのは、ウェブ会議をリアル会議の代替と位置づけるのではなく、ウェブ会議として新しい価値を生み出していくことだと考えています」

 こう話すのはITコンサルタント会社「キッズプレート」の茂出木(もでぎ)謙太郎社長だ。

 同社が開発したアプリ「NICE CAMERA」を使えば、Zoomなど既存のウェブ会議に分身のキャラクター「アバター」を登場させられる。

 しかも、パソコン画面上部に設置されているカメラが本人の表情を検知し、話すのに合わせてアバターの口が動いたり表情が変わったりする。身ぶりや手ぶりを交えて話す機能も備えている。

「このくらいのアバターの動きなら、通常のパソコンに内蔵されているウェブカメラによる捕捉で十分表現できます」(茂出木さん)

「コネクト機能」を使えば、自分のルームに他のメンバーを招待することができ、同じ空間でなごんでいるような感覚も味わえる。ウェブ会議の延長で手軽に楽しめるこうした体験を、同社は「簡易版メタバース」と位置づけている。

 メタバースといえば、ヘッドマウントディスプレーを着けたり、身体のあちこちにモーションキャプチャーのセンサーをつけたりするイメージがある。だがこれらは高価だし、会議のたびに装着するのも面倒だ。茂出木さんは言う。

「こうした機材を準備する必要がなく、ちょっとマンネリ化してきている社内のウェブ会議に刺激を加えるという意味で、NICE CAMERAは手頃なサービスだと思っています」

■普段より発言増えた

 ダウンロードして使えるNICE CAMERAは無料版と月額550円の有料版がある。無料版は7種類の汎用(はんよう)キャラクターから選んでアバター機能を楽しめるほか、スタンプや背景、文字起こし機能もついている。有料版では外部サービスと連携し、無限のバリエーションで独自のアバターを生成できる。

 気心の知れたメンバーの会議であれば、たまにはアバターで参加してみるのもいいかもしれない。試しに、筆者がNICE CAMERAに標準装備されている同社の公式キャラクター、日向(ひなた)ナナに扮(ふん)し、アエラの編集会議に参加してみた。

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