ボスの麻生財務相と話す河野ワクチン担当相(C)朝日新聞社
ボスの麻生財務相と話す河野ワクチン担当相(C)朝日新聞社
左から下村政調会長と二階幹事長、菅首相(C)朝日新聞社
左から下村政調会長と二階幹事長、菅首相(C)朝日新聞社
総裁選出馬を明言した岸田文雄元外相(C)朝日新聞社
総裁選出馬を明言した岸田文雄元外相(C)朝日新聞社

 9月17日、いよいよ自民党総裁選がスタートする。29日の投票日を目指して立候補者がしのぎを削る。

【写真】二階幹事長が推す?「ポスト菅」大穴はこの人!

 菅義偉首相は「出馬は当然」と続投に意欲を燃やす。しかし、神奈川2区の地元、横浜市長選で現職閣僚だった小此木八郎氏を擁立して大敗。新型コロナウイルス対策では失政続きで、支持率は3割を切るという惨状だ。

「もう菅首相では、解散総選挙は戦えない」

 自民党で当選3回の衆院議員は明確にNOを突きつける。だが、菅首相に近い国会議員はこう話す。

「菅首相は周囲にイエスマンばかりを置きたがる。だから、総裁選でも
まだ勝てると信じている。マイナス情報は入らないので『ワクチンさえ浸透すればまったく大丈夫。再選される』とハッキリ言っている」

 前回、菅首相支持をいち早く表明したのは、二階俊博幹事長だ。25日にも菅首相と会談した。記者団に菅首相は「コロナについて話し合った」とだけ述べたが、総裁選の話が出なかったというのは、あり得ない。

 今回の総裁選で前回と違う大きな点は、自民党内では非主流派とされる
石破茂衆院議員が「不出馬」を表明していることだ。

「前回の総裁選で各派閥が菅首相でまとまった理由は、石破氏をつぶすことでした。二階派だけでなく、安倍前首相、麻生太郎財務相らは『石破以外ならだれでもいい』という意向だった。岸田派会長の岸田文雄氏がパッとしないので、菅首相に乗り換えた。今回はそう簡単に二階氏も菅首相支持でまとめられないだろう。これだけコロナで失敗が続き、人気がない菅首相の再選を派閥で支持すれば、離反する若手議員もいるでしょう」(二階派の国会議員)

 菅首相には非常に厳しい情勢だ。最初に立候補を表明したのは、岸田派会長の岸田文雄元外相だ。昨年は菅首相と総裁の座を争い、敗れたが、得票数は2位だった。岸田派の衆院議員はこう話す。

「これまで優柔不断、グズグズしているイメージの岸田さんは、今年4月の参院広島選挙区の再選挙でも負けて、勝負弱さを露呈した。今回は誰よりも早く、出馬表明する以外に総理総裁への道はない、とやっと決断してくれた」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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決められない男、岸田氏が先陣