頻尿や尿もれにも薬がある。さらに骨盤底筋を意識してトレーニングすることは、子宮脱など骨盤臓器脱の予防、改善にもつながるため、重要だ。
これらに加え八田さんがお勧めするのは、腟レーザーだ。腟壁の粘膜に炭酸ガスレーザーを照射することで線維芽細胞が活性化し、コラーゲンが増加。水分量が増えて潤いや厚みのある粘膜がよみがえるという。
「治療は30秒~1分程度で、痛みはありません。2~3日から1週間もすると腟がふっくらして、デリケートゾーンのかゆみやにおいが軽減され、性交痛も軽快します。腟は尿道と隣接しているので、頻尿や尿もれの改善効果もあります」
同院では、腟と同時に外陰部へのレーザー照射もする(この場合は多少の痛みを伴うため、麻酔クリームを使う)。これを4~6週間後にもう1回行うと、効果は8~10カ月ほど続くそうだ。メンテナンスとして定期的に治療を受けている人も多く、導入した2016年以降1500例以上実施し、7割以上の患者が満足しているという。
自身も定期的にこの腟レーザーを受けているという八田さん。効果を実感している一人だ。
「デリケートゾーンの不快症状は明らかに改善します。腟は女性のコア(中核)にある器官。私の印象ですが、腟レーザーを受けるとエネルギーを充填された感じになります。不思議なことに、患者さんも施術後は姿勢がよくなり、見た目も若くなっています」
もちろん、こうした治療だけでなく、自分でする日々の“腟ケア”も重要。セックスをする・しないにかかわらず、腟の入り口や外陰部を低刺激のせっけんでやさしく洗う、入浴後はジェルなどで保湿をする、きつい下着をはかない……などが大事で、ムレの原因になりやすい尿もれパッドなどの使用は最小限にとどめたほうがいい。
ところで、先に男性ホルモンのテストステロンが性欲をもたらすと紹介したが、女性の場合はどうか。これについて、一般社団法人日本家族計画協会(東京都新宿区)の会長で産婦人科医の北村邦夫さんが答える。
「更年期以降はエストロゲンが減りますが、相対的にテストステロンが増えます。ですので、生物学的にみると更年期以降の女性には性欲はあるということになります。むしろ性欲が強まることも考えられます」
(本誌・山内リカ)
※週刊朝日 2021年9月10日号より抜粋