23年間にわたり「蜜月」を保ってきた自民党と公明党。旧統一教会の問題に端を発した新法の議論で、その関係がグラついている。相次ぐ閣僚スキャンダルで満身創痍の岸田文雄政権に、さらに頭の痛い難題が襲いかかろうとしている──。
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「内閣支持率が続落している現状の中、これからの統一地方選や統一外の選挙に全く影響がないとは言わない。内閣支持率を政府・内閣でしっかり回復していく。公明党は選挙で地域の課題、住民、市民の課題に向き合って政策を作ってきた実績をしっかり訴え、乗り越えたい」
11月15日の記者会見で、公明党の山口那津男代表は危機感をあらわにこう語った。
公明党にとって来春に控える統一地方選は都議選と並ぶ最も重要な選挙戦だ。源流である創価学会文化部が1955年の統一地方選に初挑戦して53人が当選し、翌年の参院選での国政進出の契機となった。
支持母体である創価学会の結束力を背景に選挙では無類の強さを発揮してきた公明党だが、近年はその力に陰りが見える。支持者の高齢化が進み、比例代表の得票は過去最多だった2005年衆院選の約898万票から、今年7月の参院選では約618万票と、大幅に下落した。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう語る。
「内閣支持率の低迷が続き、公明党や創価学会の危機感は相当強い。今回で代表を降りる予定だった山口氏が急遽(きゅうきょ)、異例の8期目を務めることになったのは、この難局を乗り切るにはそれしかないという不安が党内にあったからです」
そんな公明党が神経をとがらせる問題がある。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の問題を受け岸田政権が今国会に提出しようとしている、悪質な寄付要求行為の禁止などを盛り込んだ新法だ。寄付の上限規制なども議論されているが、公明党は慎重な姿勢をとっている。
「岸田首相が、宗教団体への『報告徴収・質問権』行使の要件に、刑事罰だけでなく民事裁判の判決も含むという新たな見解を示したことでも、公明はピリピリしています。創価学会に限らず、多くの宗教団体が勧誘やお布施の問題などで民事の係争リスクを抱えている。こうした方針や新法により、国民から旧統一教会と同一視されることにつながりかねないですから」(角谷氏)