大嶋と同様にドラフト会議直前にその存在が明らかとなって話題となったのが2016年に巨人が7位で指名した廖任磊だ。台湾から日本の岡山共生高校へ留学して3年間プレーし、卒業後は台湾に帰国して開南大へ進学。大学在籍中に台湾のアマチュア代表としてアジアウインターリーグにも出場している。日本の高校で3年間プレーしていたことから、外国人選手扱いではなくドラフト対象となり、巨人が指名したという恰好だ。巨人ではわずか2年で自由契約となったが、合同トライアウトを経て西武に入団。2019年には一軍初登板を果たしている。しかしここでも目立った結果を残せずに1年で退団し、2020年以降は台湾に帰国。今年から台湾プロ野球(CPBL)の味全ドラゴンズでプレーしている。

 ここまでは変わった経歴の選手を取り上げたが、1位指名でもサプライズが起こることが稀にある。近年では2017年の吉住晴斗(ソフトバンク1位)がそれにあたるだろう。この年は清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)に7球団の指名が集中。ソフトバンクも清宮に入札したがその抽選を外すと、続けて指名した安田尚憲(履正社→ロッテ)、馬場皐輔(仙台大→阪神)でも当たりくじを引くことができず、12球団で唯一4度目の1位指名となり、そこで選ばれたのが吉住だった。

 鶴岡東では2年夏に甲子園に出場しており、東北ではそれなりに名前の知られた存在ではあったが、本人も育成で指名があるかもしれないと思っていたと話しているように、上位候補という位置づけではなかった。そんな吉住だったが、プロ入り後は層の厚い投手陣の中で三軍でのプレーが続き、昨年オフには支配下選手としての契約解除を言い渡される。直後は引退をほのめかす発言もあったものの、それを見たダルビッシュ有(パドレス)が親交のある石川柊太を通じて連絡をとり現役続行を決意。今年からは育成選手として再スタートを切っている。

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