控訴審終了後、取材に応じた伊藤さんは、山口氏の主張に、「ショックが大きすぎるので、どう感じていいのかわからない」

 と話し、涙ながらにこう言った。 

「この場に立ってお話をするのができるかわからなかった。数分間深呼吸してこの場に立っています」

 伊藤さんの代理人弁護士によれば、今日の控訴審では新たな証拠は特になく、争点は一審と同様、性行為の同意があったかどうかなどの事実関係になるという。 

 最後に伊藤さんはこう言った。

「裁判でどのような結果が出るのか、今後の司法のあり方をどう見るのかというところに、みなさんには目を向けていただきたいと思っています」 

 19年12月18日の一審判決は、山口氏について「伊藤氏が電車で帰る意思を示したのに近くの駅に寄らず、タクシー運転手に指示してホテルに向かった」と指摘。「性行為に合意はなく、伊藤氏が意識を回復して拒絶した後も体を押さえつけて続けた」と不法行為を認めた。山口氏は判決を不服として控訴していた。

 控訴審判決は、来年1月25日に言い渡される。(編集部・野村昌二)

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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