来年3月には動物ものまねの江戸家小猫さんが「五代目江戸家猫八」を襲名されます。四代目が御父上、三代目が御祖父様。御当人も芸道に一直線、数々の名だたる受賞歴もある、非の打ち所がない寄席色物の若手のホープ。誰も文句のつけようのない、待ちに待った襲名です。私とは同学年。
調べると初代猫八師匠(現小猫さんの曽祖父)は元歌舞伎役者で三世片岡市蔵丈の弟子だったそうです。私の師匠一朝の女将さんは五代目片岡市蔵丈の長女。三代目は曽祖父に当たります。で、初代猫八師匠の役者時代の名前は市之助! いちのすけ! なんでしょう、凄く縁があるような、いや、たまたまのような……兎にも角にも、めでたい! 大変だと思うけどお身体に気をつけて、来春に五代目の鶯(うぐいす)を聴かせてください。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!
※週刊朝日 2022年11月25日号