蛭間は浦和学院の主砲として活躍し、3年夏にはU18侍ジャパンにも選ばれた左の長距離砲。レギュラー定着は山田よりも遅かったものの、昨年からホームランを量産。現役選手では1学年上で今年の上位候補である正木智也(慶応大)と並ぶリーグ戦通算10本塁打を記録している。高校時代と比べても一回り体つきが大きくなり、長打力と確実性を備えた打撃は大きな魅力だ。森下も東海大相模時代から評判の右のスラッガー。1年春からいきなりベストナインに選出され、その年に行われた日米大学野球では1年生で唯一代表にも選ばれている。山田、蛭間と比べると確実性には課題が残るが、フルスイングの迫力は決して引けを取らない。脚力と肩の強さを生かしたセンターの守備でも目立つ存在だ。
大学生投手では加藤泰靖(上武大)、荘司康誠(立教大)、橋本達弥(慶応大)、羽田野温生(東洋大)、菊地吏玖(専修大)、勝本樹(日本体育大)、神野竜速(神奈川大)、定本拓真(関西大)、秋山凌祐(立命館大)、才木海翔(大阪経済大)、渡辺翔太(九州産業大)、仲地礼亜(沖縄大)などが候補となるが、まだまだ飛び抜けた存在はいない状況。この秋から来年の春にかけて誰が飛び出してくるかに注目だ。
社会人の投手も今年の広畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)のように飛び抜けた存在は不在だが、候補としては片山皓心(Honda)、益田武尚(東京ガス)、加藤三範(ENEOS)、河野佳(大阪ガス)、大畑蓮(西部ガス)などの名前が挙がる。実績では片山と河野の2人がリードしており、今後行われる都市対抗でも安定した投球を見せることができれば、頭一つ抜け出す可能性もありそうだ。
最後に高校生だが、小園健太(市立和歌山)、風間球打(明桜)、森木大智(高知)、阪口樂(岐阜第一)などが2年夏の時点で既に注目を集めていた昨年と比べると、まだまだ全体像が見えてこない状況だ。投手では門別啓人(東海大札幌)、齋藤響介(盛岡中央)、田中晴也(日本文理)、野手では浅野翔吾(高松商・外野手)などが今のところ目立つ存在だが、これから本格化する秋の地区大会、そして昨年中止となった11月の明治神宮大会で浮上してくる選手も多いだろう。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員