いくつもの小選挙区で未だに候補者調整がつかず、保守分裂となっているからだ。その中で注目されるのが、徳島1区だ。
今年5月、自民党徳島県連幹部たちは党本部に7回当選の後藤田正純衆院議員(石破派)を衆院選では「非公認」とするように要請する「申し入れ書」を提出した。
◆後藤田氏に「堪忍袋の緒が切れた」と県連
「申し入れ書」では、後藤田氏の言動に「堪忍袋の緒が切れた」として公認しないようにと訴えている。そこには、自民党の徳島県議23人の手書き署名もついていた。
「今もって、申し入れ書の回答が党本部から来ません。どうなっているのか」
地元の自民党県議は憤懣やるかたない口調でこう語る。逆に自民党本部も対応に苦慮しているようだ。
しかし、県連が推していた徳島県の飯泉嘉門知事は10月1日、次期衆院選に徳島1区から出馬しないと県議会で表明した。
飯泉氏の出馬が有力視されていたことも徳島県連の「後藤田おろし」の背景にあったという。
「飯泉氏が出るものとばかり思っていた。その時、自民党に推薦願もくるので、どう対応すればいいのか、と考えていたのですが…」(自民党幹部)
地元の世論調査では、後藤田氏と無所属で出馬する仁木博文元衆院議員の支持ポイントはほぼ横並びだが、飯泉氏はやや下回っていたという。
「飯泉氏は9月末まで『衆院選に出馬予定』と周囲に挨拶をしていた。それが自民党県議団から世論調査の数字などの説明を聞いて断念となった。世論調査で差はあるが、自民県連が一丸になればまだひっくり返せる数字だった。ポスターの撮影までしていたそうですよ。それが出馬断念でますます混乱しています」(前出・自民党県議)
県連からNOを突き付けられている後藤田氏だが、自民党県連との対立についてこう訴えている。
「自分のことを考えたら(地元の)政治家と仲よくした方がいい。見て見ぬふり、長いものに巻かれたらいい。しかし、私は県民、国民のために政治をやっている」