再婚を果たしたチャールズ3世は夫人の「王妃」格上げ作戦を遂行する。
まずは慈善団体のパトロンに就かせた。母が骨粗鬆症に苦しんだ夫人は、この病気の予防や治療に関心があった。それを知った彼は、英国骨粗鬆症協会の名誉会長に就任させたのだ。ダイアナ元妃の敵をトップに戴くほど協会はおちぶれたのかと国民は非難したが、将来の国王の依頼に反対できるはずもなかった。
その後、夫人は次々にパトロンの数を増やした。DV被害者支援団体に足を運び、読書会を催し、子どもに絵本を読み聞かせするなど、年間200件ほどの公務をこなす。孤独な高齢者に電話をかけて話し相手になる慈善活動は特に好評だ。
さらに夫人をロンドン一のセレブ御用達の美容院に通わせ、いくつかのヘアスタイルを試させた結果、日本でいう「聖子ちゃんカット」に落ち着いた。蜂の針を刺すアピセラピーなどあらゆる美顔術を採り入れた。
カミラ夫人も離婚経験者で、前夫アンドリュー・パーカー・ボウルズ氏との間に2人の子どもと5人の孫がいる。英南西部ウィルトシャーにある夫人の私邸で実子らと過ごすことも許されている。とはいえ夫人は目立つことを注意深く避け、女王と夫の気持ちに沿って暮らした。コロナ禍でロックダウン中は、オンライン会議システムで女王とのたわいないおしゃべりを欠かさず、夫を絶えず褒めて励まし、気持ちを安定させた。
女王は、チャールズ3世の「王妃」への執念と夫人の地味な努力を評価したのだろう。女王の鶴の一声は、国民にくすぶるダイアナ元妃への愛惜とアンチ・カミラの雰囲気を和らげた。王妃となったカミラ夫人の支持率は60%ほどと倍増した。
そんな夫人も王室に入った2人の若い女性には困惑した。キャサリン皇太子妃(40)がウィリアム皇太子(40)と婚約したとき、先輩がアドバイスを与えるとしてランチに誘った。そのとき、夫人が発した「ダイアナ元妃のようになってはいけません」という言葉に、キャサリン皇太子妃が激怒した。元妃のファンだったからだ。夫人は「夫より人気が出たり、目立ってはいけません」と続け、「彼女は思ったより頑固よ」とチャールズ3世に報告している。