衆院選の当選者に占める女性比率(AERA 2021年10月18日号より
衆院選の当選者に占める女性比率(AERA 2021年10月18日号より
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 導入されて25年が経つ「小選挙区比例代表並立制」。与野党対立の構図が固定化し、「人」を選ぶことができないという問題点が指摘されている。さらに毎回同じ顔ぶれが争いを繰り広げ、政界のジェンダーバランスの壁も生み出している。AERA 2021年10月18日号で、制度が抱える問題を取り上げた。

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 自公協力は「勝てる候補」として現職優先や世襲が幅をきかせているが、野党共闘も似た構造だ。立憲、共産の間では、それぞれ現職の選挙区では9割近くが一本化されているが、新人の調整は後回しで競合が多く残る。

 一本化された現職より立候補の段階で当選のハードルが高くなっているのだ。もちろん現職が小選挙区で勝ち抜けば、その分、新人も比例復活当選の可能性が高まるが、有権者が新しい人材を国会に送り込む道のりは遠い。

 とくに大きな影響を受けているのが、国会のジェンダーバランスだ=上のグラフ。

 議会選挙の候補者を出来る限り男女同数にするよう政党に求める「候補者男女均等法」が18年にできて初めての衆院選となるが、男性が多い「現職」の優先が女性候補を増やす壁になっている。

「野党にどんどん女性を出して頂いて。うち(自民党)は残念ながら動かすだけの(空白区などの)キャパがない」

 均等法を推進していた自民党の野田聖子幹事長代行(当時)は昨年11月、記者団に白旗を揚げた。

 野党第1党の立憲も「3割以上」という数値目標を掲げたものの、「支部長がいるところは変えられない」(幹部)として2割にも満たない状態が続いている。

 立憲では今春、空白区の公募を女性に限定する案が浮上したが、空白区は、当選回数を重ねた自民党の大臣経験者や、強い地盤を持つ世襲議員がいる場合が多い。

「候補者を立てられず残った選挙区をまとめて女性に押しつけるというのは、ご都合主義ではないか」

 という異論が出て、見送られた。小選挙区制を導入する公職選挙法改正案の審議でもこうした課題は指摘されていた。

「小選挙区比例代表並立制にしても、女性の政治代表の増加が促進されるかは疑問で、むしろ、1人しか立てられないのなら男性をという発想に帰着することがないように、強い合意をこの際形成しておく必要がある」

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