まさかの敗北で岸田政権に激震が走っている。
衆議院選挙の前哨戦として注目された参議院静岡選挙区と同山口選挙区の補欠選挙が10月24日に行われた。山口選挙区は元産経新聞政治部長で前職の北村経夫氏が当選を決めたが、静岡選挙区では、自公が推した前御殿場市長の若林洋平氏が立憲民主党や国民民主党が推した無所属の新人、山崎真之輔氏に敗れる波乱の展開となった。
岸田文雄首相が就任後、初めての国政選挙に臨み、与野党1勝1敗の痛み分け。だが、痛い黒星となった。
「官邸に激震が走っています。岸田首相が2回も静岡に入り、勝負して負けた訳ですから…。とりわけ、無党派層の7割が野党候補に投じた、という事実は重い」(官邸関係者)
自民党幹部もこう落胆する。
「世論調査や出口調査で、芳しくない数字が続いていた。しかし、衆院選も公示となり相乗効果で投票率などから自公の組織票で若林氏が抜け出せるとみていたが、逆転されてしまった」
衆院選の投開票は31日と目の前に迫っている。立憲民主党は共産党、社民党、れいわ新選組と野党共闘し、統一候補を100以上の小選挙区で擁立。自公と一騎打ちの構図となっている。
しかし、今回は立憲民主などが推した山崎氏が勝利した参議院静岡選挙区では、共産党も候補者を擁立し、野党共闘にはなっていない。それなのに自民党が敗北した。
参院の静岡補選の票の動向を分析すると、衆院選でも自民党はかなり苦戦するという。
「衆院選で静岡県内の小選挙区は、情勢調査などで自民党候補の多くは苦戦と分析されている。今回の参議院の補選でも静岡3区、5区と6区、8区などで票が伸びなかった。特に静岡市や浜松市という大票田でダメだった。衆院選では小選挙区だけでなく、比例の当落にもかかわってくるだろう。どうなってんだ。まったく。とんだ計算違いをした」(前出・自民党幹部)
一方、劣勢かとみられた野党は意気が上がる。
「候補者を1本化した野党共闘でなくとも勝てたので、衆院選はかなり期待できる」(立憲民主の幹部)
今回の補選勝利の立役者の一人は、地元で絶大な人気を誇る川勝平太・静岡県知事だ。