京王線車内で火の手があがり、逃げる乗客たち(SNSより)
京王線車内で火の手があがり、逃げる乗客たち(SNSより)

 今回の犯人が車両を移動中に刃物を取り出していたかどうかは不明だ。

「もし刃物を携えていたのなら気づいた乗客が大声で警告し、逃げることができたはずだ。スマホに夢中なら目の前に現れるまで気づかない。鉄道事業者も年中同じ警戒アナウンスをするのでなく、メリハリの効いたコミュニケーションで乗客の意識の変容を促すべきだ」(同前)

 警察関係者は被害発生後のケアも重要と指摘する。

「このような事件を想定して列車をどこで止めるのか、乗客の避難をどうするのかといった対応策を策定し、訓練しておくことが重要だ。さらに非常通報装置をもっと目立つようにして、使い方を大きな字で表示するなどアナウンスしておくことも大切になる。この種の事件に備えて各駅のホームにさすまたや救急医療用品を備えておき、駅員による犯人制止や救急救護の訓練もしておくべきだ。警察や消防との迅速な通報連携はいうまでもない」

 こうした事件がいつでも起こりうるということ、それに対して具体的に備えておくことが必要ということを、当局や事業者のみならず乗客も含めて普段から意識しておくことが大切だ。

(ジャーナリスト・野田太郎)

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