コロナ禍のハロウィン。昨年のアメリカでの様子。距離を保ちながらキャンディを渡すべく、趣向を凝らしたおうちが多かった(写真/著者提供) この記事の写真をすべて見る
おとといはハロウィンでしたね。皆さん、お子さんと何かされましたか。大勢で集まってイベントという時勢ではまだないので、いろいろ工夫されたご家庭も多かったのではないかと思います。
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ハロウィンに欠かせない言葉といえば、「トリック・オア・トリート?(Trick or Treat?)」です。日本語訳は「お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ」で、どなたが手がけたかは存じませんが名訳です。なにしろオックスフォード英語辞典によると接続詞orには実に7つも用法があり、どの用法を採用するか迷うこともあったのではないかと思うからです。7つの用法とはどんなものか、「Trick or Treat?」に使われているのはどの用法なのか、順にみてみましょう。
用法1は、否定文の中で複数の要素を並列するときに使われます。たとえば「We celebrated Halloween without costumes, parties, or trick-or-treating.(仮装もパーティーもトリック・オア・トリートもなしでハロウィンをお祝いした)」など。「Trick or Treat?」は否定文ではないので、この用法は明らかに当てはまりません。
用法2は、数字をふたつ並べてorで接続することによって、だいたいこのくらいという数値を提示するときに使われます。たとえば「I got two or three dozen candies.(お菓子を2ダースか3ダースもらった)」など。TrickとTreatは数字ではないので、この用法も言うまでもなく当てはまりません。
用法3は、ある要素が正といえる理由を述べるときに使われます。「He must have some reason, or he wouldn’t do trick-or-treating at the age of 23.(彼には何か事情があるはずだ、でなければ23歳にしてトリック・オア・トリートをするはずがない)」など(トリック・オア・トリートは基本的に子どものための催しですから)。「Trick or Treat?」は疑問文で、たとえさまざまな要素が省略されているとしても、理由に疑問符がつくのは不自然なのでこれも当てはまりません。