
今回の衆院選でこれまでの11議席から41議席へと急上昇したのが、日本維新の会だ。2012年に維新の創立者で弁護士の橋下徹氏と東京都知事だった石原慎太郎氏が手を組み、はじめて国政に乗り出した時、以来の存在感ともいえる。
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選挙後、日本維新の会の松井一郎代表は謙虚にこう述べた。
「少し議席を増やしていただいたのが今の状態。躍進とはメディアの皆さんが言っているだけ」
とりわけ、発祥の地である大阪では19の小選挙区のうち15人の候補者を立て、全員が自民党候補を破って当選した。
前回の17年の衆院選では、大阪の小選挙区で自民党が10議席を獲得したが、維新はわずか3議席。現在の選挙制度となって、大阪の小選挙区で自民党が議席ゼロになるのは、初めてのことだ。自民党の大阪一区から出馬した大西ひろゆき氏はこう感想を話す。
「凄まじい維新の風を感じました。12年の時は風の理由が橋下氏や石原氏とハッキリしていた。しかし、今回はなぜ風が吹いているのかわからなかった。維新を追いかけるにも最初から、ずっと前を行っていて、最後まで見えないまま、選挙が終わってしまった」
一方、維新から当選した新人議員はこう語る。
「選挙前から周囲が沸いていました。これまで選挙となれば、手伝うスタッフ、ボランティア探しが大変。今回は若者が続々と来てくれた。維新という看板の勢いを感じました」
その風をモロに受けた一人が立憲民主党の副代表の辻元清美氏ではなかったのか。14年、17年と大阪10区で2連勝の辻元氏だが、維新の新人、池下卓氏の前に敗れ去り、比例復活もかなわなかった。
選挙中に注目されたのは、自民党の元幹事長、山崎拓氏が辻元氏の応援で演説したことだ。今も石原派の最高顧問という座にある山崎氏は、「小選挙区では辻元清美、比例では自民党」と訴えたが、これが裏目に出た。
「事前の調査で維新が小選挙区で負けるとすれば、大阪10区の辻元氏とわかっていた。選挙戦前半も辻元氏を批判してきたが、たいしたネタがなかった。そこへ自民党の重鎮、山崎氏が応援に入るという新しいネタができた。とてもラッキーだった」(池下陣営)