立憲民主党の代表選の候補者の一人、逢坂誠二氏
立憲民主党の代表選の候補者の一人、逢坂誠二氏
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 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、立憲民主党の代表選で注目する候補者について。

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 立憲民主党の代表選を見ていて、逢坂誠二さんのファンになってしまった。言葉を選ばずにいえば、ひさしぶりに「おばさん」ぽい政治家を見たように思う。力まず、明るく、偉ぶらず、具体的。

 私は自分の会社名を「アジュマ」(韓国語で、おばさん)としたくらいに、「おばさん」に対する思いは人一倍熱い。日本の政治に足りないのはおばさんである、と断言もできる。おばさんとは年を重ねればなれるというものではなく、男だからなれないわけでもない。偉ぶらず、友達が多く、井戸端会議が大好きで、正義を貫く明るい骨太の人。人生修業が必要な存在である。

 ずっと、おばさん政治家はどこに行ってしまったのだろうと思っていた。日本の政治におばさんが大量に出現したのは、マドンナブームで社会が沸いた1989年だろう。土井たか子さん、おばさんの中のおばさんが、女性運動家や人権活動家に人生を費やしてきた骨太の女性候補者を政治の場にたくさん送ったのだ。私にはまだ選挙権はなかったが、国会に色とりどりの派手なスーツを着たおばさんたちが溢れる様子にはワクワクしたものだ。

 そういえば、2012年、男性ばかりの政治状況に嫌気がさした女性たちがSNSの井戸端会議から「全日本おばちゃん党」を結成したことがあった。大阪維新の会が「日本維新の会」を結成したことを機に、大阪のおばちゃん(実際には全国の女性たちが賛同した)を象徴するヒョウ柄を手に、日常の言葉で政治を語る実践をはじめたのだ。残念ながらおばちゃん党は2年前に解散したが、一時期は6000人を超すメンバーが連なり、おばちゃん党をきっかけに政治家を目指す女性たちも生まれた。

 全日本おばちゃん党の顔でもあった谷口真由美さんはおばちゃんに対峙するオッサンを、当時こう定義している。

「『オッサン』とは、『独善的で上から目線でとにかく偉そうで人の話を聞かない男性』を指す」

 残念ながら今もそういうオジサン政治のただ中にある。しかも今は、「独善的で上から目線でとにかく偉そうで、人の話は聞こえているようで批判されると激怒する」、9年前よりもたちの悪いオジサンが増えてしまっているのではないか。

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「あんたたち、守ってないでしょ!」