立憲民主党代表選候補者の共同記者会見
立憲民主党代表選候補者の共同記者会見

 というわけで、立憲民主党の代表選である。誰を応援したいということはないままに見ていたのだが、立憲民主党の人材の豊かさをアピールするという意味でも、成功していると思う。なにしろ私は、逢坂さんの語りぶりにキラリと光るおばさんの素質を見つけてしまったので。世間的に逢坂さんは地味というイメージがあるようだが、話している様子は、とても明るく、明快で具体的である。たとえば「ジェンダー平等」はなぜ大切なのか、ときいた記者に答えたときの答えは秀逸だった。

 逢坂さんが実際にメロン農家の集まりで見た話だ。販売できるメロンの糖度は10度以上、というルールがあると決められていたが、守らない農家もあった。男だけの会議ではそのことを知りながらも互いに沈黙を貫いていたのだが、ある日、女性たちが複数入ってきたときに、「あんたたち、糖度守ってないでしょ!」とポーンと言ったという。エライ人に忖度することもなく、暗黙の了解に屈しないすがすがしさ。それを見て逢坂さんは、「多様性があるほうが真実が見えていく」と考えたのだという。

 女が入ってくると会議が長くなる、女が入ってくると忖度文化がなくなる、女が入ってくると俺たちの都合が悪くなる……そのようにして女性が様々な決定権の場から排除されてきた歴史は長い。だからこそ、メロン事件(と名付けました)を通して、ジェンダー不平等の本質を一瞬にして見ぬいた逢坂さんに、おばさんへの偏見や苛立ちのない公平な視線、おばさん視線を感じたのであった。また、逢坂さんは「明るさが大切」とも話していた。「明るさ」を語る野党政治家にすこしハッとさせられた。そうそう、そうなのよ、明るさが今、国会に足りないのよ!と逢坂さんと井戸端会議したい気分になるのだった。

 西村智奈美さん、泉健太さん、小川淳也さんもそれぞれ真摯に語っている。意外だったのは人気の高い小川さんが、けっこうな悲壮感をまとっていることだ。「国家主義的な価値観と対峙をし、まさに国民主権、リベラルの気風を根本とした政党として再び立ちのぼらせたい」「引き際、どこかで死に場所を探しているようなところがありまして、切迫感のなかでやっていきたい」と力いっぱい語っていた。「死に場所を探している」なんて、おばさんは言わない。肩の力を抜いてほしいと思う。また、「ジェンダー平等はなぜ大切なのか」という質問にも、小川さんは「深い質問ですね」と唸るが政治家としての思考は語れないのは少し残念だった。

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