「被害者」となった木村の体の状態が心配されたが、20日に自身のツイッターを更新。「中国でのエキシビジョンご心配おかけしました。幸い怪我もなく、身体に異常はありません。ただ世界中どんな国でも悪い人もいれば、いい人もいる。誠実な人もいれば、ずるい人もいる。この件で中国人を嫌いにならないで欲しい」と綴った。

 木村がこのコメントを投稿した真意について、格闘技ライターはこう推測する。

「木村の人生が変わったのは2017年7月にWBO世界フライ級王者の鄒市明と対戦し、11回TKO勝で王座獲得に成功した試合です。中国の英雄として知られる鄒市明から王座を獲得し、その泥臭い戦いぶりが中国で話題になり一躍人気者になった。サクセスストーリーをつかんだ中国は木村に対して温かい。中国には感謝の念がありますし、活躍しても謙虚で物腰柔らかい好青年です。今回のラフファイトで、怒りの矛先が中国人全体に及ぶことを危惧したのだと思います」

 木村が大けがをしなかったことが救いだが、国境を問わず、このような試合は二度と開催されるべきではないだろう。(安西憲春)

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