アンドラ・デイが2021年の【第78回ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)】で<主演女優賞>を受賞し、【第93回アカデミー賞】で<主演女優賞>にノミネートされるなど、数々の映画賞を席巻した映画『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』が2022年2月11日より全国公開する。
主人公は、地上にひとつしかないと称えられた歌声で肌の色や身分の違いを超えて当時の人々を魅了し、没後60年以上経っても、その強烈なカリスマ性が現代のアーティスト達に影響を与え続けているビリー・ホリデイだ。彼女は長きに渡り、執拗にFBIに追い続けられた。ターゲットとなった理由は、彼女の大ヒット曲で人種差別を告発する禁断の楽曲「奇妙な果実」を歌い続けたから。
リンチを告発し、市民を扇動する歌だとしてビリーは「奇妙な果実」を歌うことを禁じられる。しかし、ビリーは「この歌だけは捨てない」と強い意志でステージに立ち続けた。公民権運動の<音楽的出発点>とも呼ばれているこの「奇妙な果実」は、昨今のBLMムーブメントの中で再度注目されていることを知っているだろうか。
カニエ・ウエストは2018年に「奇妙な果実」のニーナ・シモンがカバーしたバージョンをサンプリングした「Blood On The Leaves」をリリースし、非常に多くの反響を呼んだ。ほかにも、ラッパーのラプソディが同じくニーナ版をサンプリングした「Nina」、R&Bシンガーのベティ・ラヴェットがジョージ・フロイド事件を経て「奇妙な果実」の新録カバーをリリースするなど、1940年代・50年代と現在の状況がリンクすることで、再び注目を集めているのだ。
本作で主演を務める前にも、The Equal Justice Initiative(受刑者に法的代理権を提供する非営利団体)の活動の中で、当時南部でリンチされ、木に吊るされた黒人の遺体を果実に例えて作詞された「奇妙な果実」を歌っていたアンドラは「これは美しい曲ではありません。きれいな歌でもない。痛々しくて醜い歌なんです。座って楽しむのではなく、聴いて吸収してほしい、この言葉を聴いて理解してほしいという願いが込められているんです」と語っている。
不世出の天才シンガーの短くも壮絶な人生をFBIとの対決に焦点を当てて描くのは『大統領の執事の涙』のリー・ダニエルズ監督。長編二作目の『プレシャス』で【アカデミー賞】2部門受賞、4部門ノミネートを果たし、社会派の深淵なテーマをエンターテイメントに昇華する手腕が称えられている。【グラミー賞】ノミネート歌手のアンドラ・デイは映画初出演ながら、そのズバ抜けた歌唱力で名曲の数々をビリーが憑依したかのように歌い上げ、彼女のパワフルかつ美しい生き様を体現した演技で賞レースを席巻。プラダとコラボして手掛けられた華やかな衣装も必見だ。
◎公開情報
『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』
2022年2月11日(金・祝)より全国公開
監督:リー・ダニエルズ
出演:アンドラ・デイ、トレヴァンテ・ローズ、ギャレット・ヘドランドほか
配給:ギャガ
(C) 2021 BILLIE HOLIDAY FILMS, LLC.