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 国民に違和感が残ったまま安倍晋三元首相の国葬が行われる。公文書改ざんを強いられて自死した近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻・赤木雅子さんの目に、今回の国葬はどう映るのか。AERA 2022年9月26日号の記事を紹介する。

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 安倍晋三さんの口から直接、謝罪の言葉を聞けなくなったのは、本当に残念です。

 公文書が改ざんされ、それを苦に主人(赤木俊夫さん。享年54)が2018年3月に自死したのは、その前年2月に安倍さんが国会で「私や妻が関係していたということになれば、私は総理大臣も国会議員もやめる」と答弁したのが原因なのは明らかです。

 主人はよく笑う人でした。けれど、改ざんを指示された翌月ごろから笑わなくなりました。私たちは仲がよかったのに、夫婦喧嘩も増え、地獄のような日々でした。だからその点についてちゃんと認めて、謝罪して、夫の墓に手を合わせに来てほしいと思っていました。認めてほしいということは、再調査をしてほしいということです。

 安倍さんが銃撃される前日の7月7日、神戸の三宮の駅前で、自民党候補を応援する安倍さんの応援演説がありました。実は、私もその場に行っていて、安倍さんに手紙を渡したんです。手紙には「再調査をしてください」と書きました。封書には私の名前は書いてなかったので、安倍さんはファンレターかと思われたのか「えぇ、手紙」と喜ばれていました。

 だから、安倍さんが亡くなったことにとても驚きました。

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