稲盛氏は1984年に「ノーベル賞の登竜門」と称される京都賞を創設し、受賞者には山中伸弥京都大教授(10年受賞)らがいた。14年に京都賞が30周年を迎えたことを記念し、山中氏と対談した『賢く生きるより辛抱強いバカになれ』(朝日新聞出版)という本を作らせてもらった。稲盛氏が山中氏に「iPS細胞が人類にとって大善になるか、小善になるか」と問いかけていたのが印象的だった。側近の一人だった京都パープルサンガの伊藤雅章社長は「怒られたこともあったが、経団連の偉い方が集まる懇親会の時でもわれわれに対し、『メシ食えたか』と気遣う人だった」。

 稲盛氏の教えは「誰にも負けない努力をする」「謙虚にしておごらず」「利他」「くよくよしない」など六つの精進。あまり身についていないわが身を反省しつつ、ご冥福をお祈りします。

週刊朝日  2022年9月16日号

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