「コンビニ百里の道をゆく」は、52歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】節電要請を受け東京スカイツリーも夜間のライティングを取りやめた

竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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 暑い日が続きますね。東京電力管内では冬季も電力不足は解消されず、厳しい状況が続く見通しだとか。

 いま民間でも役所の仕事でも「さらなるデジタル化」の必要性が言われていますが、停電になってしまえばデジタル化も何もないわけです。安定的な電力供給はすごく大事。火力や再生可能エネルギーなど、さまざまな形での電力供給を考えていく必要があります。

 ローソンでは政府からの節電要請をうけて全国の店舗で節電に取り組んでいます。今までもマメなフィルター清掃や、設定温度を27度にするなどの「省エネ10か条」や、店内照明のLED化などを実施してきました。加えて、トイレの便座保温機能のオフ。商品陳列用の要冷機器照明の消灯。店内照明の一部消灯などを設備の問題で実施できない店舗を除き実施しています。

 コロナ禍で、店舗の利益を守ろうとコスト意識を強化した時に「本当の窮地に立たされると、できることはまだたくさんある」ことに驚かされました。


 今回も同様で、いざ始めると、ある気づきがありました。SDGsや節電問題が言われて久しいですし、私たちはエネルギーの問題には気をつかって過ごしてきたつもりだったと思います。でも、本気で切羽詰まれば、まだまだ節電もやれることがある。

 いま、おにぎりの陳列棚の電気を消すことで売れなくなることはまったくないですし、お客様にもご理解、ご協力をいただいています。近くのローソンの店舗で一部消灯している様子を見て、節電を意識されるきっかけになれば、という思いもあります。

 そこから始め、生活の中では節電だけでなくいろんな「節●」が考えられますから、この電力不足の夏が、「まだまだ無駄は減らしていける」という学びの機会になればと思います。

節電要請を受け東京スカイツリーも夜間のライティングを取りやめた=2022年3月22日
節電要請を受け東京スカイツリーも夜間のライティングを取りやめた=2022年3月22日

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2022年8月29日号