主な実験内容は、赤ちゃん研究員がテレビでアニメーションや動画を見たり、遊んだりしている様子をビデオカメラで記録し分析する。保護者がアンケートに回答する場合もあり、プライバシーに関わる情報はしっかり守られる。鹿子木研究室のエントリーフォームから応募が可能だ。

 赤ちゃん研究員は、大阪大学の他に東京大学や京都大学、慶應義塾大学などの研究室でも募集している。

「赤ちゃんを研究するにはどうしても研究員という形でみなさんに協力していただかないと成り立たないです。参加された保護者の方は『赤ちゃんの研究ってどういうことするの』と、学術的なことに興味を持って来られる方が多い。研究内容を説明して同意を得たうえで実験をするので、『こういう実験をしてるんだ』とか『赤ちゃんはこんなことできるんだ』とか驚かれる方も多いです。参加された方からツイッターなどで『楽しかった』という声もあがってます」(鹿子木准教授)

 これまでは、赤ちゃんの運動能力では第三者罰の計測は不可能と考えられてきた。しかし今回の実験では、赤ちゃんの視線によって操作が可能なコンピューターを用いた。赤ちゃんが画面上のキャラクターを見つめると、そのキャラクターの頭上に岩が降って罰を与える仕組みだ。これにより、体が未発達な赤ちゃんでも罰を与えられるようになったという。

 赤ちゃんにこの仕組みを学習させた後、二つのキャラクターを映し出し、一方がもう片方をいじめる動画を見せたあとに、赤ちゃんがどちらのキャラクターに罰を与えるのか、条件を変えながら実験をした。その結果、他者を攻撃する行動をとったキャラクターに対して赤ちゃんが罰を与える傾向が高いことがわかったのだ。

 最先端の研究を支える「赤ちゃん研究員」にこれからも期待だ。

(週刊朝日・佐賀旭)


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