モーガン・ウォレンの「ラスト・ナイト」が返り咲き、通算4週目の首位を獲得した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。
2023年2月18日付で3位に初登場した「ラスト・ナイト」は、翌3月18日付で首位に到達した後、4月15日~22日付で2週首位を追加して、今週通算4週目に記録を更新した。同曲は、モーガン・ウォレンにとってソング・チャート“Hot 100”で1位を獲得した初のタイトルで、この曲のヒットもあり、最新作『ワン・シング・アット・ア・タイム』も、今週のアルバム・チャート“Billboard 200”で初登場から8週目の首位を獲得している。
「ラスト・ナイト」は、今週の集計期間(2023年4月21日~4月27日)エアプレイが4,770万回(20%増加)に上昇し、その週最も伸びた曲に贈られるAirplay Gainerを獲得。ストリーミングは3,370万回(4%減少)、セールスは10,000(9%減少)にそれぞれ下降したが、いずれも高記録を維持している。
ストリーミング・ソング・チャートでは7週目の首位を獲得し、デジタル・ソング・セールス・チャートは2位から4位にダウン。エアプレイ・チャートでは11位から7位に自身2曲目のTOP10入りを果たした。ジャンル別では、カントリー・エアプレイ・チャートで5位、ポップ・エアプレイ・チャートとアダルト・ポップ・エアプレイ・チャートではどちらもTOP20入りしている。
カントリー・ソング・チャートでは初登場から12週連続で首位をキープして、Hot 100と両チャートを制覇。両チャートで首位を獲得した曲が、主要チャートのストリーミング、セールス、エアプレイ3つのチャートで同時にTOP10したのは、「ラスト・ナイト」が史上初のタイトルとなる。
カントリー・ソング・チャートとHot 100で同時に首位を獲得したのは史上20曲目で、「ラスト・ナイト」はHot 100で4週目、カントリー・ソング・チャートでは12週目の計16週に今週記録を更新した。この記録は以下の20曲中最多で、ジョニー・ホートンの「ニューオーリンズの戦い」が記録した同16週と並んでいる。
()は首位達成年、Hot 100の首位獲得週 / カントリー・ソング・チャートの首位獲得週
16週 モーガン・ウォレン「ラスト・ナイト」(2023年 4週 / 12週)
4週 テイラー・スウィフト「オール・トゥー・ウェル(テイラーズ・ヴァージョン)」(2021年 1週 / 3週)
13週 テイラー・スウィフト「ウィ・アー・ネヴァー・エヴァー・ゲッティング・バック・トゥゲザー」(2012~13年 3週 / 10週)
10週 ローンスター「アメイズド」(1999~2000年 2週 / 8週)
4週 ケニー・ロジャーズ&ドリー・パートン「アイランド・イン・ザ・ストリーム」(1983年 2週 / 2週)
3週 エディ・ラビット「恋のレイニー・ナイト」(1981年 2週 / 1週)
3週 ドリー・パートン「9 To 5」(1981年 2週 / 1週)
7週 ケニー・ロジャース「レイディ」(1980年 6週 / 1週)
3週 グレン・キャンベル「哀愁の南」(1977年 2週 / 1週)
7週 C・W・マッコール「コンボイ」(1975~76年 1週 / 6週)
2週 ジョン・デンバー「アイム・ソーリー」(1975年 1週 / 1週)
5週 グレン・キャンベル「ラインストーン・カウボーイ」(1975年 2週 / 3週)
2週 ジョン・デンバー「すばらしきカントリー・ボーイ」(1975年 1週 / 1週)
3週 フレディ・フェンダー「涙のしずく」(1975年 1週 / 2週)
2週 B.J.トーマス「心にひびく愛の歌」(1975年 1週 / 1週)
5週 チャーリー・リッチ「朝やけの少女」(1973年 2週 / 3週)
8週 ボビー・ゴールズボロ「ハニー」(1968年 5週 / 3週)
7週 ジミー・ディーン「ビッグ・バッド・ジョン」(1961年 5週 / 2週)
9週 マーティー・ロビンス「エル・パソ」(1959~60年 2週 / 7週)
16週 ジョニー・ホートン「ニューオーリンズの戦い」(1959年 6週 / 10週)
先週首位に到達したシザの「キル・ビル」は今週2位にダウンしたが、R&B/ヒップホップ・ソング・チャートで18週目、R&Bソング・チャートでは19週目の首位を獲得している。R&Bソング・チャートでの首位獲得記録は女性がリード・アーティストの楽曲として史上最長を更新し、R&B/ヒップホップ・ソング・チャートでは以下に続く2番目の記録に並んだ。
20週 リル・ナズ・X「オールド・タウン・ロード feat. ビリー・レイ・サイラス」(2019年)
18週 シザ「キル・ビル」(2022~23年)
18週 リル・ナズ・X&ジャック・ハーロウ「インダストリー・ベイビー」(2021~22年)
18週 ドレイク「ワン・ダンス feat. ウィズキッド&カイラ」(2016年)
16週 ロビン・シック「ブラード・ラインズ feat. T.I.&ファレル」(2013年)
15週 メアリー・J.ブライジ「ビー・ウィザウト・ユー」(2006年)
3位は、マイリー・サイラスの「フラワーズ」が先週に続き同位をキープ。前週から若干数減少したが、今週も9,160万回と高記録を維持して、エアプレイ・チャートでは11週目の首位を獲得した。ジャンル別では、ポップ・エアプレイ・チャート、アダルト・ポップ・エアプレイ・チャート、アダルト・コンテンポラリー・チャートでも各チャートで4週目の首位を獲得し、それら3つのチャートを同じ週で4週以上制覇した3曲目のタイトルとなった。その他には、同4週を記録したアデルの「ハロー」(2015年)、最多の5週をマークしたセリーヌ・ディオンの「ビコーズ・ユー・ラヴド・ミー」(1996年)がある。
4位は、先週の5位からエスラボン・アーマードとペソ・プルマによるコラボレーション「Ella Baila Sola」が上昇し、メキシコの楽曲としてはHot 100史上最高位を更新した。ラテン・ソング・チャートでは、通算4週目の首位をキープしている。
続いて今週5位には、米テキサス州出身のメキシコ人によるバンド=グルーポ・フロンテラとバッド・バニーによるコラボレーション「un x100to」が先週の15位から上昇し、メキシコの楽曲としては前述の「Ella Baila Sola」に続く史上2曲目のTOP10入り(及びTOP5入り)を果たしている。
TikTokのバイラル・ヒットにより、ストリーミングが44%増加の2,860万回に上昇し、今週最も伸びた曲に贈られるStreaming Gainerを獲得。エアプレイは640万回、セールスは3,000をそれぞれ記録した。
グルーポ・フロンテラは、昨年10月に初めてHot 100にチャートインして以来6曲目のランクインで、TOP10入りはグループ初のタイトルとなる。一方、バッド・バニーは通算9曲目のTOP10入りを果たした。
タイトルに「100」が含まれる楽曲としては、Hot 100史上5,000以上あるタイトルの中で初のTOP10入りを果たしたが、表記違いではジーン・マクダニエルズの「ア・ハンドレッド・パウンズ・オブ・クレイ 」(1961年 / 3位)、グループ名では100プルーフ・エイジド・イン・ソウルの「サムバディーズ・ビーン・スリーピング」(1970年 / 8位)がある。
6位は、先週の7位からレマ&セレーナ・ゴメスの「カーム・ダウン」が再び上昇し、アフロビーツ・ソング・チャートでは35週目の首位を獲得。同チャートでは、約1年前に集計をはじめて以来の最長記録を更新した。
「カーム・ダウン」と入れ替わり、メトロ・ブーミンの「Creepin' with ザ・ウィークエンド&21サヴェージ」は先週の6位から7位にダウン。ザ・ウィークエンド&アリアナ・グランデの「ダイ・フォー・ユー」は8位をキープし、ピンクパンサレス&アイス・スパイスの「ボーイズ・ア・ライアー Pt. 2」は先週の10位から9位に上昇した。
10位には、テイラー・スウィフトの「アンチ・ヒーロー」が先週の11位から順位を下げ、TOP10に返り咲いている。「アンチ・ヒーロー」は、今週でTOP10のランクイン総週を25週目に更新し、2014年~15年に24週をマークした「シェイク・イット・オフ」を上回る自己最長記録を更新した。以下「ブランク・スペース」(17週)、「トラブル」(16週)、「ユー・ビロング・ウィズ・ミー」(16週)が続く。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは5月5日以降掲載予定となります。
◎【Hot 100】トップ10
1位「ラスト・ナイト」モーガン・ウォレン
2位「キル・ビル」シザ
3位「フラワーズ」マイリー・サイラス
4位「Ella Baila Sola」エスラボン・アーマード&ペソ・プルマ
5位「un x100to」グルーポ・フロンテラ&バッド・バニー
6位「カーム・ダウン」レマ&セレーナ・ゴメス
7位「Creepin'」メトロ・ブーミン with ザ・ウィークエンド&21サヴェージ
8位「ダイ・フォー・ユー」ザ・ウィークエンド&アリアナ・グランデ
9位「ボーイズ・ア・ライアー Pt. 2」ピンクパンサレス&アイス・スパイス
10位「アンチ・ヒーロー」テイラー・スウィフト