名護市長選に立候補した渡具知武豊候補(左)と岸本洋平候補
名護市長選に立候補した渡具知武豊候補(左)と岸本洋平候補

 与党が推す渡具知氏は基地問題について、「辺野古移設は国と沖縄県が係争中で決着するまで見守る立場に変わりない」と言い、コロナ感染対策のさらなる強化、インフラ整備など経済政策に重点を置くと主張。

 一方、野党が推す岸本氏は、辺野古移設の反対を明言し、「基地問題に目を背けることはできない。渡具知氏は推移を見守ると態度表明をせず、問題を先延ばし。普天間で危険なものは、名護でも危険。コロナ感染拡大も米軍基地に大きな影響を受けている」と訴えた。

 前出の自民党幹部は厳しい情勢を打ち明ける。

「米軍基地、辺野古移設は国策であり、それを支えてくれる地元のトップは絶対に勝たせなければならない。今年はじめての注目選挙で、結果は新聞一面になる。他の首長選と格段に違うものだ。だが、オミクロン株が広がるにつれて、渡具知氏の票が岸本氏に流れているようで、何とか食い止めたいのだが…」

 一方で、岸本氏を支援する立憲民主党幹部はこう話す。

「米国はじめ世界が注目する名護市長選で勝てば、自民党、公明党の連立与党に大きな打撃が与えられる。情勢調査でも拮抗し、チャンスだ」

 前出の自民党の元政務調査役だった田村氏は1998年の名護市長選で、党から命じられ事務方責任者として名護市に張り付いた経験がある。その時、自民党が支援したのは岸本氏の父親・岸本建男氏だった。

 市長選挙の1年前に米軍基地問題を問う住民投票があり、反対が54%と賛成を上回ったこともあり、田村氏が現地入りした時は野党候補が優勢だった。しかし、岸本建男氏が最後の追い込みで、1000票ほどの差をつけ勝利した。

「自民党のやり方は東京から大物を続々と投入して世論を盛り上げる。そこに選挙資金のテコ入れもあるでしょう。しかし、沖縄は中央への対抗意識があり、地元に口出すなという意識が強い。当時、野党候補の応援に社会党の土井たか子党首らが入っていた。そこであえて地元だけの選挙に徹した」

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