竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、52歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 昨年末の「乳製品の需要低迷で牛乳の原料となる生乳が大量に余って、廃棄される可能性がある」というニュース。皆さん、まだ記憶に新しいと思います。牛乳がピンチ! そうなると「何とかしなきゃ」と思うのが、私たちです。

 実はローソン、1939年に米国オハイオ州で牛乳店を営んでいたJ・J・ローソンさんにその名の由来があります。ローソンさんはその後、「ローソンミルク社」を設立し、生活必需品も販売するようになりました。私たちのミルク缶デザインのロゴも、実はこれが発端なんです。

大みそかと元日に実施したホットミルクの半額販売。他のチェーンでも牛乳消費を応援する動きが広がりました
大みそかと元日に実施したホットミルクの半額販売。他のチェーンでも牛乳消費を応援する動きが広がりました

 だからこそ、私たちはPB商品のパック牛乳や、「加工乳じゃなくて、生乳を100%使用した牛乳で!」とラテに力を入れ、また全国各店舗でエリアごとに産地にこだわった牛乳をラテに使用する取り組みもしています。牛乳には強い思い入れがあるんです。

 だから全国の生乳農家さんの窮状には黙っていられません。2020年3月、一斉休校で給食での牛乳消費減が問題になると、いち早くホットミルクの半額販売とホットカフェラテ30円引きを実施。そして今回も生乳廃棄リスクの話を受けて、大みそかと元日に再びホットミルクの半額販売をしました。売り上げは前年同期比の18倍で、販売量は約135トン。少しは生乳の廃棄回避に貢献できたのではないかと思います。

 うれしく思ったのは、20年の半額販売の時、このような取り組みをしたコンビニチェーンはローソンだけでしたが、今回は他のチェーンもそれぞれのやり方で取り組みを公表されました。日頃さまざまな分野で競争する関係ですが、このように共通の社会問題について刺激し合い、小石を水の中に投じたときのように波紋が世の中に広がる。すごくいい流れになってきたなと感じます。今後もお客様と共に、より良い社会づくりに貢献していきたいです。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2022年2月14日号