サッカーや野球だったら地域ごとに誰かしら教えることのできる人がいるものですが、冬競技は特殊な競技なので、コーチが身近にいない。そうなると、父親がコーチ役になって、家族ぐるみでやることになる。お父さんが上の子を指導しているうちに、下の子も教えるようになるケースは多いです。
ただ、教える役の親が一流の競技者であるとは限りません。親子2代にわたって世界大会で活躍していた例はあまり見ません。あくまでも私の推測なのですが、自分(父親)が実現できなかった夢を子どもに掴ませてあげたいという方が多いのかなという印象があります。
――親の影響も多分に影響しているんですね。成田さんには2歳の息子さんがいますが、将来的に「わが子に世界の舞台で戦ってほしい」と思うことはありますか。
うーん、大変さも身に染みて分かっているので、生半可な覚悟ではやらせられない。競技者になれば学校生活にも影響しますし、友達と過ごす時間も限られてくるので、すべての青春を捨ててでもやりたいのかと聞いたうえで、本人の意見を尊重すると思いますね。
私としては自分がやっているスポーツを好きになってほしいですし、2歳の息子にスノーボードを体験させてはいます。ただ、それでハーフパイプの選手を目指させようとは考えていない。競技者になるかどうかは別問題ですし、最終的には本人次第かなと思っています。
――成田さんがスノーボードを始めたきっかけも、親の影響だったのでしょうか。
そうですね。スノーボードを始めたのは8歳からでしたが、もともと父親の趣味がスキーだったので、父に連れられる形で、5歳の頃からスキーをやっていました。はじめは私だけ付いて行って教わっていたんですけれど、翌年から当時4歳ほどの妹も一緒に行くようになって。小さな妹を家に残して母に子守をさせてしまうのは大変なので、それなら一緒に連れて行こうとなったようです。
弟の緑夢(ぐりむ)も、同じ流れで、2歳でスノーボードを始めています。スキー場の宿とかで、親が弟のおむつを替えていたのが懐かしいです。あれよあれよと、皆で行くようになりましたね。
――下の子になるほど、始める年齢が早かったのですね。