コロナ禍でリモートワークが増え、感染拡大により休校・休園も相次いでいる。自宅で家族が”密”になって過ごしていれば、イライラして親子げんか、夫婦げんかが勃発する頻度も増えるかもしれない。そんなとき、あえてそのけんかを研究・分析しながら親子で話し合うという家族がいる。けんかを「会議」する、意外な効果と、その方法とは? 新刊『子どもから話したくなる「かぞくかいぎ」の秘密』(白夜書房)掲載の文章から一部抜粋、編集した。
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東京近郊の住宅街に暮らす江連家は、会社勤めをする耕太郎さん、写真家の麻紀さん、現在、中学2年生の長女と6歳の長男の四人家族だ。江連家では、長女が幼稚園の頃から、家族のなかでなにか問題が起きれば、リビング壁一面のホワイトボードをつかって「家族会議」を行ってきた。
「家族会議」を自分の家でも手探りながら実践し、家族会議をしている家庭があると聞きつけては取材をしていた私が、江連家の家族会議を初めて見せてもらったのは、5年前。この日は、母親の麻紀さんと長女(当時小3)との間でおきた「親子げんか」についての記録として、ホワイトボードにこんなことが書いてあった。
「けんかかいぎ」
母 「私が何か注意すると、いつも『ワーッ』て怒りだす。ちゃんとお母さんの話を聞いてほしい」
娘 「お母さんは、私の言うことをムシしないでちゃんと話を聞いてほしい。それに、ずーっとぐちぐち言わないで」
まるで、けんかの続きのようだが、怒りながらもせっせとホワイトボードに板書するのは娘さん。その姿を想像すると、ほほえましいものがある。さらに娘さんはイラスト付きでこう書いている。
「けんかの最中にお母さんが言った言葉を聞くと、パニックンがレベルアップする」
イライラした様子の人(おそらく麻紀さん)の「ぐちぐちビーム」を受けて、パニックンは巨大化。つまり注意を受けて娘さんが「ワーッ」となってしまうのは、お母さんのぐちぐちビームのせいだというのだ。