撮影:山田秀樹
撮影:山田秀樹
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 山田さんが写したのは「変な場所ににょっきりと咲いている花」。

【山田秀樹さんの作品はこちら】

 それについて、「難しい理屈は何にもありません」と言う。

 ところが、撮影した際のことを聞くと、ただならぬ情熱が伝わってきた。その一つが、線路わきに咲く背の高いヒマワリに絡みつき、可憐な花をつけるアサガオの写真。

「これは、長野から上田に行く途中、電車の窓から見つけたんです。チラッと見えて、『あれ』っと思った」

 次の駅で降りて、引き返そうとも思ったが、電車の本数がかなり少ないうえ、荷物も多かったので、撮影を諦めた。

「でも、どうしても気になって。翌週、撮りに行きました」

 そう飄々(ひょうひょう)と語る山田さんは埼玉県在住である。

「地方の鉄道だから駅と駅の間がすごく離れている。なので、散々探して、やっと見つけて、撮影しました」

撮影:山田秀樹
撮影:山田秀樹

■警察に通報されるんじゃないか

 インターネットのYouTubeでゴミの不法投棄場所に咲いた花を見つけ、それを撮るためだけに大阪まで足を運んだこともある。

「廃アパートの前にゴミがたくさん捨てられて、そこにアサガオがめっちゃ絡まって咲いていた」

 動画の場所は生野区だった。しかし、それ以上のことは分からない。地図を開いてあたりをつけ、さらにグーグルマップの航空写真をなめるように見て、「ここかな」と、訪ねた。すると、「ビンゴ! でしたね」。

 すでに不法投棄されたゴミは取り除かれていたが、廃アパートを勢いよく覆うアサガオはそのままだった。

「かなり写して、もういいかな、と思ったんですけど、よく考えたら上から撮るのはどうかな、と。それで、カメラを三脚にくっつけて、脚を伸ばして、ノーファインダーで撮影した」

 ところが、ファインダーをのぞかないので、なかなかうまく写らない。

「どう見ても不審者ですよ。パトカーは通るし、通行人はみんな見ていくし、警察に通報されるんじゃないか、心配で」

 しかし、なぜ、そうまでして妙な場所に咲いた花にこだわるのか?

 すると、山田さんは、昔話を口にした。

「小学生のころ、田舎道を歩いていたら、畑の隅っこにチューリップがひょっと一輪咲いていた。ただ、それだけのことなんです。でも、チューリップは花壇に咲くものと思っていたので、子ども心にはすごくショッキングだった。その花をいとおしくも感じた。その光景が強烈に頭に焼きついた」

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ピンク映画館の「女装さん」