欧州の場合、角度のある登坂では、力強く踏み込んだ際にはモーターが定格出力を超えたアシストを行っている。日本のアシスト車は時速24kmでアシストが切れ、そこからさらにこぐと途端に重くなる。つまり安全面に配慮した日本の仕様が、国際基準の仕様にあわないのだ。過去に海外進出を試みたメーカーもあったが普及に至らず、日本のアシスト車はガラパゴス化しているという。

 日本は坂道が多く、直線距離が短い国土事情があり、安全面に配慮して法規制している面もあるのだろう。もしも海外仕様と同様にしていれば、それに伴い交通事故が今より増えるかもしれない。自転車の事故は命に関わる問題であり、行政の判断も納得できる。

■アシスト車、次なるターゲットは?

 さて大手3社(パナソニック、ヤマハ、ブリヂストン)のカタログ内の掲載写真を見ると、若いママと子どもの写真がほとんどで、購入ターゲット層だと一目でわかる。その次が通学生徒向けと通勤用だ。

 シニア層は1社、男女2人のみしかなく、ターゲット層にしていないと感じる。「発売当初はシルバー層と若い女性に販売していた」と販売店から聞いたが、それはプロダクト・アウト(企業がいいものを生産したのだから、市場に投入して使ってもらう)発想で、使い勝手の良さが理解されていなかったのであろう。いまのように、幼稚園や保育園の通園や買い物向けに若い母親層が購入したいと思うマーケット・イン(顧客ニーズから、それにあった商品を提供していく)を優先すべきだろう。

 だが今後より少子高齢化が進めば、次のターゲット先はシルバー層が定石になるはずだ。高齢ドライバーの自動車運転は社会問題化しており、「車から自転車へ」など行政、自治体などとキャンペーンを図ってもよいのではないか。いまはシルバー層もアシスト車の利用が多くなったが、商店街でも買い物客用にバッテリー充電コーナーや駐輪場を設置するなど、さらに促進が可能なはずだ。

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