安田大サーカスのクロちゃんが、気になるトピックについて"真実"のみを語る連載「死ぬ前に話しておきたい恋の話」。今回のテーマは「東日本大震災」。あの震災から、明日で11年。クロちゃんが地震発生時に感じた恐怖をメディアに初めて語った。
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明日で東日本大震災から11年。
もう11年なのか、まだ11年なのか、人によって感じ方はそれぞれ。人間は時間が経つと、大事なことでもだんだん忘れてしまう生き物。もちろんボクもそう。
だから、このタイミングだけは、震災のことを改めて振り返りたいなって思う。
2011年3月11日。あの瞬間、ボクは東京の銀座にいた。ちょうど仕事現場についたところで、マネジャーやスタッフさんと一緒にエレベーターを待っている時だった。
いつもと何も変わらない日常。そんな時に地震は突如起きた。
徐々に身体に揺れが伝わってくる。そして、あきらかに「普段感じている地震よりも大きい…」、そう感じた瞬間、目の前のエレベーターの壁に「バシっ!!」っと亀裂が入った。
「みんな早く外に出ろ!!」、誰かがそう叫んだ。
ボクらは一斉に建物の外へ避難。外にはボクらと同じように避難してきた人たちで溢れていて、もうパニックだった。駐車していた車が、上下に激しく跳ねていて「これはただ事ではない」、そんなふうに感じたのを覚えている。今、思えば、地震の発生が少しでも遅れていたら、ボクはエレベーターの中に閉じ込められていただろうと思う。
数分後、なんとか揺れがおさまった。キャリアによって異なるみたいだけど、ボクの携帯はまったくつながらなくなっていたから、いったいさっきの地震がどれくらいの規模だったのか、どこが震源地なのかが、すぐには分からなくて、ほんとうに怖かった。
その日の仕事はもちろん中止。スタッフさんがボクのために帰宅用のタクシーをつかまえてくれていたけど、大荷物を抱えていたスタッフさんをとりあえず先にタクシーに乗せた。その後でも、タクシー1台くらいはすぐにつかまるだろうと思っていたんだよね。でも、結局その後いくら待ってもタクシーはこなかった。
とにかく移動しようと、近くの駅まで歩いた。駅は大混雑。電車もやはり動いていなかった。「どうやって家まで帰ろう」と思った矢先、目の前を自転車が通り過ぎた。「そうだ!自転車を買おう」。ボクは、近くのドン・キホーテに向かった。でも、考えることはみんな同じ。店にあった自転車はすべて売り切れになっていた。