2類か5類かの議論の前に 検査と早期投薬を徹底 新型コロナウイルスの第6波は収束の兆しが見えない。入院患者や自宅療養者の 増加に医療現場の悲鳴が続く。ウィズコロナ下の医療政策はどうあるべきか。 AERA 2022年3月21日号から。
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新型コロナウイルス感染症による死亡者数が2万5千人を突破した。オミクロン株の第6波はピークを過ぎたようだが、連日、3桁の人がコロナ禍で亡くなっている。そんななか、コロナ対策の「出口」として、現在「2類相当(結核、SARSなど)」とする感染症法上の位置づけを「5類(季節性インフルエンザなど)」に引き下げる見直し論が浮上している。
5類に下げれば、入院勧告や感染者の追跡が不要となり、保健所の負担は軽減される。その代わり、コロナに「かかったかな」と思った患者は一般の診療所や病院に直行し、ふつうの病気と同じく保険診療で「検査・診断・治療」を受ける。果たしてその準備はできているのか。2類か5類かの硬直した議論ではなく、「出口」に向かうために必要な準備は何か。コロナ診療の現場から説き起こそう。
厚生労働省のデータによると、3月8日時点で「入院治療等を要する」患者60万人近くが自宅での療養を強いられている。
静岡県掛川市の基幹病院、中東遠総合医療センター(500床)は、昨年来、業務が滞った保健所をサポートして自宅療養者の健康観察をしてきた。
■5類にするのはリスク
昨夏の第5波では、職員が1日200人以上の自宅療養者に毎日電話し、悪化した患者を外来につなげ、中等症以上の患者をコロナ病床(55床)に収容して地域の医療を支えた。近くの宿泊療養ホテルにも看護師を派遣して患者をケア。医師が24時間態勢でオンライン診療し、入院の適否を判断している。その結果、担当地域から重症例は発生せず、死亡者も出なかった。
ところが、第6波では高齢者施設でクラスターが続発し、様相は一変。一般診療や救急医療を維持するため、介護に人手をとられる高齢患者の入院を断らざるをえないケースが出てきたのだ。宮地正彦院長が語る。