そして唯一ノーヒットに終わった佐々木だが、先述したようにタイミングをとるバットの動きが大きく、ヘッドが下がり気味に出てくるため高めと体に近い速いボールには明らかに弱点があるという印象を受けた。明治神宮大会で放った2本目のホームランは高めのストレートをとらえたものだったが、米田のようなドラフト候補と言える140キロを超えるボールに対しては少し打ち方を考える必要がありそうだ。ただ、佐々木は12月に両肩を手術した影響でバッティング練習を再開したのは3月からと伝えられており、十分な調整ができなかったことも割り引いて考える必要はあるだろう。

 今ではプロ野球を代表するホームランバッターとなった村上も、甲子園での悔しさをバネに大きく成長しただけに、佐々木もこの敗戦が糧となってさらにスケールアップすることも十分に考えられる。甲子園出場のチャンスはあと3回も残されているだけに、この3人が再び揃って出場し、全員が特大のアーチをかけてくれることを期待したい。(文・西尾典文)
●プロフィール西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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